(写真・琉球新報社)
中学卒業を前に、自分を守る知識を付けてほしいと名護中学校で11日、3年生全員に性教育の授業「子どもたちに伝えておきたい生と性のはなし―大切なこころとからだ」が開かれた。県内外で講演を続ける思春期保健相談士の徳永桂子さん(兵庫県)が、生徒の質問を基に思春期の特徴や性的な行動について説明。性暴力、妊娠や性感染症にも触れて「インターネットの性情報はうそがほとんど。正しい知識で自分と相手を大事にして」と呼び掛けた。授業は保護者らにも公開された。
今回は県内で初めて、事前学習の後に生徒の質問を集めて徳永さんに送る形式を取った。質問は匿名で、教員は読まずに徳永さんに送った。徳永さんによると、この形式だと「匿名性を高めることで生の姿が表れ、子どもの実態を共有できる」という。
生徒からは、性器の大きさや生理不順のほか「自慰をすると背が伸びないのか」「性行為を求める彼氏への対応は」「自慰がやめられず隣の女子を襲いそう」「子どもだけで緊急避妊薬を買えるか」など踏み込んだ質問も集まった。
徳永さんは前半、手作りの模型を使って性器の仕組みや働きを明るく、テンポ良く説明した。鏡をまたぐポーズを見せながら、「女性器は見えにくい。自分の大切な体なのだから鏡で見てみて」と語り掛けた。生徒たちは笑い声や歓声を上げながら徳永さんの語りに引き込まれた。
後半は、性暴力や妊娠などにも踏み込み「相手が大好きな人でも、性に関することは『いや』と言った人の意見が通る」と説明。「セックスをしてもいいと思っても避妊に失敗すれば9カ月後に親になる。病気になる可能性もあり検査や診察にはお金もかかる。全部考えた上で本当にしたいかパートナーと話し合って」と、信頼して話し合える関係性の大切さや慎重さを求めた。さらに「不安になったら、ネットではなく身近な大人や相談先に連絡して」と相談機関の連絡先を配った。
授業を受けた生徒からは「こんな話は初めて。面白い」「恥ずかしくて聞きにくいことを聞けて良かった」などの感想が聞かれた。