(写真・琉球新報社)
沖縄県読谷(よみたん)村に本社を置く企業4社が、アジアの市場開拓に向け連携して取り組んでいる。連携しているのは沖縄ハム総合食品(オキハム)、比嘉酒造、御菓子御殿、沖縄スカイ観光サービス。“読谷ブランド”と銘打ち、共同で現地営業することで、コストの圧縮や効率的な知名度アップの効果を見込む。オキハムの海外売上高が過去最高となるなど実績も出てきている。
取り組みは2年目。県産業振興公社の中小企業課題解決プロジェクト推進事業を活用する。現地の小売店や飲食店関係者を試食会に招いて売り込む「読谷ナイト」を台湾や香港で開催したほか、中国語の繁体字と簡体字、英語、韓国語で読谷村をPRするホームページやスマートフォンアプリも開発した。
約20年間、海外出荷を続けるオキハムは、香港のスーパーを中心にレトルト商品やハムなどを出荷する。これまで海外での年売上高は最高3千万円ほどだったが、2017年1月期は4千万円を超えた。長濱徳勝社長は「1億円に乗れば補助なしで継続できる」とさらなる市場開拓を目指す。
比嘉酒造はシークヮーサーとゆず味がある泡盛ベースのリキュールが香港で人気だ。前年度の売上高は年間100~200万円だったが、本年度は700万円を超える見込み。太田敏営業統括本部長は「外国人観光客が増えているため、泡盛の認知度自体は高い」と手応えを感じている。
御菓子御殿は紅芋タルトなどを香港向けに出荷する。大城充営業本部長は「タルトはどこでも評価される。知名度が上がれば、引き合いも強まる」と見通す。昨年12月には韓国でのフェアにタルトを出品し、3日で1600箱を売り上げた。
スカイ観光は村内の民泊世帯が韓国、香港、台湾の言語や生活文化を学べる研修を4回実施した。インバウンド事業を担当する駒田博志課長は「食と合わせて読谷の魅力をPRできる。現地の旅行会社ともつながりができる」と期待を寄せる。
関税の高い国や現地商品との競合など採算ベースに乗せるには課題もあるが、4社は着実に成果を上げ始めている。