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『15周年を迎えて「福岡だけでなく、沖縄でのワンマンライブをしていきたい」と意気込む比花知春=10日、福岡市中央区の大濠公園』

 

 

福岡県を拠点に活動している宜野湾市出身のシンガー・ソングライター比花知春(ひがちはる)。透き通った高い歌声と鮮やかに爪弾くギターの音色が魅力的だ。比花の弟は現在ブレーク中のタレントりゅうちぇる。弟の活躍で比花も全国的に注目を浴びている。デビュー15周年を迎えた比花に話を聞いた。

 

沖縄アクターズスクール出身の比花は2002年、「CHIHARU」という名前でデビューした。デビュー曲「君を忘れない」ではソルトレーク五輪のテーマソングに起用され、注目された。デビューして東京に移り住んだが、すぐ沖縄へ戻った。「東京での生活になじめなかった」と当時を振り返る。

 

しばらく沖縄で活動していたが「居心地が良くて常に甘えていた自分がいた。それによって音楽活動においてもいい成果を出せなかった」。再び県外に行こうか迷っていた時、母から「このままでいいの?」と背中を押され、県外へ出る決心をした。

 

比花は当初東京で再出発するつもりだった。東京に行くと、友人や世話になった人たちから連絡が入った。うれしかったが、甘えられる環境が東京にもあることを知った。「これでは前と変わらない。誰も知り合いがいない場所で再スタートしたい」と思い、沖縄へ帰る途中に福岡に寄った。「福岡は昔から好きな街だった。誰も知り合いがいないので一からスタートできると思った」

 

09年、福岡移住と共に名前も「比花知春」に改名した。「福岡の人は耳が良くて厳しかった。ストリート(ライブ)をした時はしばらくまともに聴いてくれなかった」と打ち明ける。自分の歌を聴いてもらえるように一生懸命努力を積み重ね、地道にファンを増やしていった。福岡のラジオ局でパーソナリティーをしたことも功を奏して比花の名前が知られるようになった。

 

11年2月、福岡県内で当時16歳だった高校生2人が飲酒運転の車にひかれ亡くなった。比花はこの事故をきっかけに、二度と飲酒運転事故が起きないよう「青い空の下でずっと」という曲を作った。「自分ができることを考えた。最初はライブでしか披露しなかったが、亡くなった男の子のお母さんが駆け付けて、私の歌を聞いてくれた。『ぜひCDにしてほしい』と言ってもらい、多くの人が聞いてくれた」。比花の伸びやかな声と強いメッセージが全国的に広まった。

 

今月13日にデビュー15周年記念シングル「光/ガムシャライド/Step by Step~手の鳴る方へ~」(gozigen)を発売した。3曲ともCDのタイトルに入れたのは「3曲とも自分にとって大事。どちらか一つの名前にするのは抵抗があった」という。

 

「光」は比花の歌との出会いについて書いている。「人見知りだった私が11歳の時、ダンスと歌で人生が変わったことをそのまま歌詞にした」。「ガムシャライド」はいつか歌いたいと憧れていたロック調の曲。「今までとは違う比花知春が見られると思う」と顔が緩んだ。

 

4月9日には2人組ボーカルユニット「フィフスエレメンツ」とのツーマンライブが宜野湾市のキッチンバー「RIPPLE」である。「沖縄でのライブはとても楽しみ。今年は15周年なのでバンドを引き連れて沖縄でワンマンライブをしたい」と意気込んだ。りゅうちぇるも歌のレッスンをしており、比花は「いつか姉弟(きょうだい)でセッションできたらなあ」と笑顔で話した。常に前を向きながら挑戦を続ける2人。比花も厳しさを知りながら知らない土地で花を開かせ、自分の好きな歌を続けている。(金城実倫)

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