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ファンから熱狂的な支持を集める沖縄の郷土料理「チーイリチャー(豚の血炒め)」。県北部食肉協業組合(名護市食肉センター)の不適切な採血方法が原因で豚の血の出荷が止まり、沖縄県内の食堂や居酒屋ではチーイリチャーが供給停止に陥っている。チーイリチャー(豚の血の炒め煮、チーイリチー)を日ごろから食する文化が根付く金武町では波紋が広がっている。金武町でチーイリチャーを販売する12店舗のうちすでに10店舗は血の在庫がなくなり販売を停止、経営にも影響が出始めている。現在販売している飲食店も5月中に在庫がなくなる見通し。県北部食肉協業組合によると、販売再開のめどは立っていない。飲食店や町民からは「お祝い事や行事でチーイリチャーは欠かせないので困る」「早く再開してほしい」とする悲痛な声が上がった。

 

沖縄本島で豚の血を卸しているのは県北部食肉協業組合のみ。離島の食肉センターから取り寄せる案も出ているが、輸送コストや保管方法などの課題もあり、解決に至っていない。

 

1969年からチーイリチャーを販売する金武町の久松食堂は10日で販売を停止。オーナーの宜野智(さとし)さん(54)は「一番の看板メニューでお客さんの7割がチーイリチャーを食べる。早く再開してもらいたい」と求め、売り上げへの影響を懸念した。チーイリチャーを食べに宜野湾市から訪れた安座間剛さん(49)は「これを目当てに食べに来たのに。早く食べられるようになってほしい」と話した。

 

チーイリチャー弁当を販売する「菜菜」では、まだ在庫があり販売しているが「5月中になくなる見込み」だという。店で最も売れるメニューで従業員は「売り上げに大打撃」と、経営への影響を心配する。

 

チーイリチャー弁当を買いに来た金武町の宮城健さん(48)は「週1で食べてる。この独特の味が好きなのに…。必ず復活してほしい」と話した。金武町の仲間安二さん(45)は「今まで食べてこられたのに、なくなったらとても残念だ」と肩を落とした。

 金武町産業振興課の安富祖勧課長は「チーイリチャーは地域に根付いた食文化。食べられなくなるのはかなり問題だ」と話した。(阪口彩子)

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