ダンスを通して自分にしか出せない世界観を追求するあらさきゆかりさん(32歳)。世界に挑むショーアートダンサーの今に迫ります。
人生を変えた出来事は?
人生を変えたきっかけは…いっぱいありすぎて一つに絞れません(笑)。
昔から自分のやりたいことが決まったら、そこしか見えないタイプ。学生時代はスポーツが大好きで、中学時代は駅伝とバスケで沖縄代表でした。
中学時代に参加した「マイケルジョーダン夏休みバスケキャンプ」でディフェンスVIP賞に選ばれたり、高校ではバスケットボールで国体に出場したりとスポーツと共に歩んできた人生でした。
でも身長が低いという理由でバスケットボールで挫折感を味わい、今後何をすべきか分からずフラフラしていた時期がありました。
悩んだ末、スポーツ経験を生かしてスポーツトレーナーになろうと思い、スポーツと英語を学べる東京の専門学校に進学し、そのうち2年間はオーストラリアに海外留学し、沖縄に戻ってきました。それでもやっぱりピンとこなくて、何をやっても楽しくなかった。求めているものが得られず苦しんでいました。
実は、コミュニケーションをとるのが苦手で、他人に心を開いて喋れないので誤解されやすいんです。自分の心を上手く表現できず、人間関係にもトラブルを抱えていた時期もあったのですが、ある時、勤めていたスポーツクラブで、たまたまダンスのレッスンを受けた時に衝撃を受けたんです。
ダンスは自分の心を含めて表現できるので楽しくて、踊っている時が自分らしいって気が付いたんです。
けれど、スポーツは何でもそつなくこなせたのに、ダンスは全然うまく踊れなかったんです(笑)。逆に踊れないことで、はまりました。
そうなったら本領発揮!どうせなら本場で学びたいと思い、ロスに渡り、様々なジャンルのダンスを学びました。元々トレーナーをやっていて、教えることには慣れていたので、帰国後は初心者にも関わらずダンスを教える仕事がなぜかたくさん入ってきました。育成者として教えながら、生徒と一緒に自分も成長していく感じでした。
次第に「沖縄のエンターテイメントに貢献したい」「子どもたちと一緒に切磋琢磨しながら沖縄を盛り上げたい」と思うようになりました。
沖縄から世界に発信できる力をもったエンターテイナーを育成したい―。そんな思いから、沖縄県内にダンススクールをオープンしました。
思い返すと、毎日が変わるきっかけに溢れていました。
ハッピーでいるためにしていることは?
自分らしく生きることです。やりたいことを思いっきりやった方が、自分らしく輝き、輝いていたら、周りもハッピーになり、人の輪ができます。
私は、自分にしかできないものをつくり上げることを目指していて、自分にしかできないダンスをつくり上げるのが鍵だと思っています。
ダンスの表現には色々なものが関わっていて、生きてきた経験すべての要素を取り込める。様々な経験がダンスの世界観をつくるのに役立っています。
だから一日一日の生き方が大事!色々なものを見て、感じて、生きていきたいと思います。
座右の銘は?
“華麗奔放(かれいほんぽう)”
「極めて華やかで思うままに振る舞う」という言葉です。
私のダンスは、本能のままに心で踊る「アートダンス」、女性のボディーラインを美しく演出する「セクシーダンス」の2スタイルで活動しています。
「それはダンスじゃない」と批判されたこともありましたが、自分のやりたい道で闘ってきて、今になってようやく自分のスタイルが見えてきました。
以前、私は「自分らしくありたい」と思いながらも社会的なルールや人の目を気にするあまり、指導する立場として露出を控え、前に出すぎないようにと、いつの間にか自分を押し殺し、自分の首を絞めていたんです。
でも、自分らしく生きていこうと覚悟を決めると、とても生きやすくなりました。自分らしさが確立され、こんなに違うのかと思うほど、自分らしさを取り戻した感じです。
そして、踊りから元気をもらえると、観てくれる人たちの言葉も変わり始めました。
アートダンスは本能のままに心で踊るダンス。人の心を動かす力があります。私のアートダンスを見て、年配の女性が「第二の人生をスタートできそう」と涙を流した時には、すごく感動しました。
不思議なことに、自分らしい道を生きようと決意したら、続々といろんな仕事が入ってくるようになりました。覚悟を決めると変わるんですね。指導者以外に、ソロ活動、モデル、海外の仕事など“表現者”としての道が自然と切り拓かれていく感覚です。
今は、常識や規範にとらわれず、自分の思うままに振る舞うスタンスになりました。これからも自分のやりたいことを思いっきりやって、自分らしくあり続けたいと思っています。
ダンスを通して人生を好転させるきっかけを与えられるよう、人の心に寄り添えるダンスを磨き、もっと多くの人を元気にしたい。
理想の女性像は?
志をもっている女性は強い。そういう人になりたいです。
子育てでも仕事でも何でもいい。ジャンルにこだわらず、目標に向かっている人。何かに打ち込み一生懸命に頑張っている女性。夢に向かって負けずに闘っている女性-。
それが自分のなりたい女性像です。
理想の男性、好きな男性のタイプは?
優しい人。私の活動を認め、それを思いっきりさせてくれる理解のある人ですね。
できていないことを「できてない」って言うのも優しさ。良いものはいい、ダメなものはダメと、客観的に見てくれる人がいいです。
常にお互いが成長し、向上していくためにも、時に厳しく、お互いプラスになれる関係が理想です。
落ち込んだ時の対処法は?
好きなことをやる!違うことをする!です。
ダンスに落ち込んだらダンス以外のことをやり、人間関係で悩んだら自然に触れて考えるといった具合に、真逆のことをやります。落ち込むと、とことん悩んでしまうので、マイナスに引きずられないようプラスにもっていく方法です。
作品づくりは孤独で、生まれるときは 20分で完成する場合もあれば、1〜2カ月、長い時では1年かかった作品もあります。時には、自分が何を伝えたいのか気付くためにダンスから離れてみます。
本を読んだり、バスケで体を動かしたり、琉球ガラスの手作り体験など伝統工芸に触れてみたりと、色々やります。絵画や写真など他のアーティストの作品に触れ、色々なアイディアを吸収しています。
イチ押し美容法は?
初動負荷トレーニングです。
元々トレーナーをやっていたので、筋肉が付きやすい自分の体質は分かっていました。ショーダンスは筋肉が付きすぎても見た目が良くないんです。でも、初動負荷を行うと、変に筋肉がつかない。
私の場合、本来のカラダにリセットされ、体の動きが運動しやすく変わっていきました。
女性はカラダが固くなりがちですが、骨盤や肩甲骨などの可動域が広がり柔軟性がでてくるので、無理なくトレーニングできるんです。女性らしい動きをつくるのに最適で、今では欠かせないトレーニングになっています。
カラダを美しくメイキングしたい女性にオススメです!
チャレンジしたいことは?
もう一度海外に行って勉強したいです。
ダンサーをしながらダンススクールを経営して 6年が経ちました。踊ることと教えることの両立を目指す中で、自分の練習ができなかったり、体力が続かなかったりした時期があり、このままでいいのかと悩む日々が続いていました。
一人のダンサーとして、まだまだ未熟な今の自分が、生徒にプロとしての心構えや意識を教えることに限界を感じ始めたのです。
アーティストとしてもっと深いリアリティを伝えるためにも、自分がもっと成長したい―。
やるべき課題は見えていました。もう一度自分のダンス人生を見直し、育成の道はお休みして、表現者としての道を究めてみたい。その成長が結果として将来、世界に通用するエンターテイナーを育てることにつながると信じています。
そんな決意から今年8月にスクールを閉めたんです。
これからが再出発! まずスタートとして秋からマレーシアやバリなど東南アジアに行きます。どうなるか怖い気持ちもありますが、先入観を持たずにいろいろと受け入れたいと思います。
出会いは大事!まずは私自身と闘いたい。
いつかまた沖縄でスクールを再開するときには、「生徒を海外研修に連れて行きたいな」とか、「生徒が踊れる場所も作れたらな」という野望もあります。
とはいえ、「スクール代表」という立場を捨てて、ゼロからのスタートです。
もう一度生まれ変わるつもりです(笑)。
プロフィール
Show /Art dancer YUKARI(ゆかり)
独自の世界観を追求しながらShow danceでは Sexyに、Art danceでは、Free心で躍るをテーマとして、2つのダンススタイルで活動をしている。沖縄出身