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日米共同訓練に参加する陸上自衛隊員=2008年3月、沖縄県金武町の米軍キャンプ・ハンセン

 

防衛省・自衛隊が来年3月に新設する陸上自衛隊の「水陸機動団」を沖縄県の米軍キャンプ・ハンセンにも配備する方向で検討していることが31日分かった。複数の関係者が明らかにした。2020年代前半に在沖縄米海兵隊約8千人がグアムなど国外に移転することをにらみ、次期中期防衛力整備計画(中期防)に盛り込むことを目指している。ハンセンに自衛隊が配備されれば、海兵隊移転による「沖縄の基地負担軽減」は有名無実化する。地元合意もなく県民の反発は必至だ。

 

防衛省関係者によると、日米両政府が8月、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表で、南西諸島を含めた自衛隊の態勢を強化するため、基地の共同使用促進を再確認したことを受け、ハンセンなど在沖米軍基地の共同使用に向けた協議を開始した。

 

日米両政府は06年5月に合意した米軍再編ロードマップ(行程表)で、ハンセンについて「陸上自衛隊の訓練に使用される」と明記。既に自衛隊による訓練数が増加しているが、在沖米海兵隊の国外移転により運用に空きができる。そのため自衛隊の使用増加が可能になるとみられている。

 

水陸機動団は「日本版海兵隊」と呼ばれており、離島奪還作戦などへの対処を目的とする。オスプレイを導入することが決まっており、県内離島での訓練も見込まれている。

 

来年3月に約2100人で編成し、長崎県の相浦(あいのうら)駐屯地に2個連隊が配備される。当初計画では約3千人、3個連隊を新設する予定となっており、残る1個連隊の配備先としてハンセンが検討されている。

 

ただ、防衛省は3個連隊目を新設するかを決定しておらず、流動的な部分も残る。また米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設など、米軍基地建設に反対する県民感情を踏まえ「難しいのではないか」(同省関係者)との声もある。

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