【浦添】浦添警察署協議会(宮城景正会長)は酔っ払って路上で寝込む路上寝を防止するため、浦添市と西原町に対して「路上寝禁止条例」の制定を来週、要請する。同条例の制定要請は沖縄県内で初めてで、全国でも例がないとみられる。2016年の県内の路上寝の通報件数は7159件で、07年の4557件と比べ約1・6倍増加している。浦添警察署協議会と浦添署は条例制定を求めることで、増加傾向にある路上寝に対する自治体や県民の意識を高め、飲酒絡みの事件事故の防止につなげたい考えだ。
同協議会によると、飲酒後の路上寝は仮睡者狙いの窃盗事件や交通事故などに発展する恐れがあるほか、保護や送迎などで警察官が動員されるため、一般の事件事故への対応が遅れがちになるという。浦添署管内では飲酒絡みの通報が年間約600件あり、路上寝は夏場の多い日で1日十数件、冬場でも5、6件の通報があるという。
浦添署の試算では1件の通報に対し現場到着にかかる時間は平均7分。路上寝を含む飲酒絡みの事案に対し、現場に向かうだけで年間約70時間を費やしていることになる。現場到着後の保護や家族への連絡、送迎などの対応も含めると「1年のうち、だいたい1カ月は飲酒絡みの事案に対応している」(同署)状態で、事件捜査やパトロールなど本来の警察業務に支障を来しているという。
路上寝は過去に死亡事故に発展したこともあることから、浦添署はこれまでさまざまな防止策を講じてきた。14年には路上寝をしている人に対し「イエローカード」(警告書)を発行。路上寝をしている本人を写したインスタント写真を渡し路上寝を自覚させて再発防止を促そうとしたが、「人権上問題がある」との指摘を受けて中止した。
路上寝が減らないことから今回、浦添警察署協議会と浦添署は他の市町村に先駆けて管内の自治体に路上寝禁止条例の制定を求めることを決めた。浦添市には15日、西原町には14日に条例制定を要請する。条例に罰則を設けることは想定していないが、具体的な中身は浦添市と西原町に一任する。
浦添署は「すぐに路上寝禁止条例を制定するのは難しいかもしれないが、犠牲者が出てからでは遅い。県民や自治体に路上寝がさまざまな事件や事故につながりかねないということを知ってほしい」と話した。
(松堂秀樹)