入学祝いのキャベツとレタスを手に「卒業目指し頑張る」と意気込む母の花城正代さん(左)と娘の優美さん親子=9日、沖縄県名護市宇茂佐の北部農林高校
クラスメートはお母さん-。沖縄県名護市の県立北部農林高校(喜屋武勝校長)で9日、定時制課程の入学式があり、花城正代さん(35)・優美さん(15)親子がそろって入学した。2人は3年間、同じクラスで学ぶ。中学卒業以来20年ぶりの学生生活に正代さんは「慣れるまで大変だけれど、娘がいるから頑張りたい」と笑顔。優美さんは「少し恥ずかしい」と照れ笑いを見せつつ「2人そろって卒業する」と語った。
小学校で受けたいじめで人間不信になり、学校も嫌いだった正代さんは中学校を卒業後は高校には進学せず働きに出た。「仕事をする中で学がないことがどんなに大変かを知り、高校に行きたいとずっと思っていた」と明かした。
一方、漫画家を目指す優美さんは専門学校の学費を稼ぐため日中に働くことができる定時制を選んだ。娘の選択に「定時制なら一緒に通える」と正代さんも入学を決意。夢のために進学する娘の存在が「学びたい」という母の夢の実現を後押しした。
北部農林高校定時制は今年度から国語、数学、英語、理科、社会の5科目を基礎から学ぶ「スタディ科目」を設置した。2人の担任の渡嘉敷真通教諭は「学びたいという意思があれば、誰でも学び直せる。正代さんと優美さんの夢が実現できるよう指導していきたい」と語った。
この日、県内では60の県立高校全校が入学式を行い、約1万4300人が新しい学びやの門をくぐった。
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