モルディブで行う波力発電の実験について説明する新竹積教授 12日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学
沖縄科学技術大学院大学(OIST、恩納村)が5月から、波力発電の導入に向けた実験をインド洋の島しょ国モルディブで開始する。波力発電の実用化を目指しており、化石燃料による発電に頼っている島しょ国での活用が期待される。将来的には沖縄での導入も視野に入れており、実験を行うOISTの新竹積教授は「(波力発電を)モルディブで育てて沖縄に持ち帰りたい」と話す。
波力発電は、海岸に打ち寄せる波の力でプロペラを回して電気を生み出す。波の力が働く場所であれば昼夜を問わず発電できる。OISTが実験を行うのはモルディブのカンドゥーマ島で、南極方面からの波が安定的に打ち寄せているという。台風やハリケーンなどの発生もなく、発電機の損傷を抑えながら実験を進めることができる。
モルディブはホテルの設備などで多くの電力を必要としている一方で、大規模な発電所や島々を結ぶ送電網の整備は進んでいない。各島がディーゼル発電などの化石燃料で電力を賄っており、波力発電を含めた再生可能エネルギーへの関心も高まっているという。今年2月には、OISTとモルディブの環境エネルギー省、同国への橋渡しをした公共建物(東京都、山下耕平社長)の3者が実験開始について覚書を交わした。
実験では、実用機より小型の試作機を最初に導入する。カンドゥーマ島の南東にある海岸から約50メートルの沖合に2基を設置。電力計測器をインターネットとつないで、沖縄からでも発電量を確認できるようにする。10月には実用機と同じサイズの発電機を設置して発電量などを調査する。
新竹教授は「実験は波力発電の実用化に向けた第一歩だ。波力発電が活用されることで、二酸化炭素の削減やエネルギー源の確保につながっていく。台風にも耐えられるように技術を確立して、沖縄や日本国内でも使えるようにしたい」と今後の目標を掲げた。
(平安太一)