第35話 母にとっての下ネタ

アルツハイマー病の母の混乱は、まず、おカネに出た事は、繰り返し書いてきた。

まず、貯金通帳の行方が、分からなくなり、行きつけの銀行の名前が、あやふやになり、やがて全く分からなくなってしまった。

imageただ、今年の5月の長谷川方式のテストでは、簡単な計算は、出来ていたので、計算能自体は、まだ健在らしい。ただ、<計算が、出来る>というのもアルツハイマー病の症状の一つだ、と脳神経外科の先生は、おっしゃっていたが・・・

本人にとっては、おカネの混乱は、一番辛かったに違いない。何しろ、母は、結婚以来、関口家の大蔵大臣で、<おカネ=権力>を上手に司ってきた人生だった、といっても過言ではないからだ。

しかし、おカネの問題は、何とか乗り越え、いや、諦観し、今、母にとって切実な問題は、<下=シモ半身>のことだ。

これは、かなり手強い!!

トイレット・ペーパーの異常な減り具合から、トイレット・ペーパーをオシメにしていることを確認したが、母にとって<尿取りパッド>を使用する事は、言語道断、あり得ないことらしい。

imageただ、母のこの自尊心の高さは、自分のハードルを高く押し上げ、そのハードルを越えようとガンバルことにもなり、結果として、そんなに悪いことではないのかも知れない。
私が、出来ることは、せっせとトイレット・ペーパーを買うことぐらいかな、と思う。

日々闘っている母を間近で見ていると、最後は、「自分の性格と向き合う」ということなんだなあ、とつくづく思う。

<自己受容>は、人生最大のテーマ、ですねえ。

 

2010.12.11 (土)更新予定!<動画34:アルツハイマー病の母の緊急外出の理由

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