米経済誌Forbesは2012年版の「ギャラを貰いすぎのハリウッド俳優TOP10(The Most Overpaid Actors In Hollywood)を発表した。
1本の映画やドラマに出演するだけで何百万ドルという出演料を受け取る俳優はたくさんいる。しかし、彼らはその報酬に見合うだけの結果を出しているのだろうか。出演料1ドルに対して作品が稼ぎ出した収益をもとに算出したランキングでは、あの大物俳優が昨年の2位から首位に躍り出てしまった。ちなみに、昨年コストパフォーマンスの高い俳優1位に選ばれたクリステン・スチュワートの1ドルの報酬に対する利益は55.83ドルだった。この額を念頭に置いて、コストパフォーマンスの低い俳優たちの実績をご覧いただきたい。
不名誉な1位に輝いたのはエディ・マーフィー。ギャラ1ドルに対し、収益はたったの2.3ドルだった。過去5年間にわたり、マーフィーは実写映画でのヒット作を出していない。主な出演作の米国内興行収入は惨憺たる額だ。『デイブは宇宙船』(2008)は1,180万ドル、『ジャックはしゃべれま1,000(せん)』(2011)は1,845万ドルといったように日本円にして15億円前後に留まり、日本では当然のごとくDVDスルーされた。長年のキャリアに培われた確かなパフォーマンスは健在であることは確かだが、なぜか興行収入には結びつかないというのが現実だ。
2位は1ドルのギャラに対し3.4ドルしか稼げなかったキャサリン・ハイグル。人気テレビドラマ『グレイズ・アナトミー』のイジー役でブレイクしたものの、映画出演を優先するために降板。主にラブコメ作品の主演を張っていたが最近の出演作は実にパッとしない。小説『私が愛したリボルバー』の映画化作品である『One For The Money』(2012)が米国内で稼ぎ出した興行収入はわずか2,640万ドル(約21億円)。
3位はオスカー女優、リース・ウィザースプーンで、ギャラ1ドルで利益は3.9ドルだった。『幸せの始まりは』(2011)の興行収入はたったの5,000万ドルで、制作費120万ドルの回収すらできなかった。
以下に全ランキングを掲載するが、エディ・マーフィー、ジャック・ブラック、アダム・サンドラー、ベン・スティラーという10人中4人がコメディ俳優という結果となった。笑いのツボは人それぞれ、確実なマネタイズはなかなか難しいのかもしれない。そう考えると、ハリウッド発のコメディ映画で日本未公開作品が多いのもリスクを回避した結果なのだろう。そしてキャサリン・ハイグル、サラ・ジェシカ・パーカーはテレビドラマで爆発的なヒットを生み出した女優という共通点がある。いくらドラマで高い実績を上げたとしても、そのイメージが強すぎて成功できない俳優は数多く存在する。ハイグルと同じ『グレイズ・アナトミー』に出演しているパトリック・デンプシーも2007年頃から映画の主演を任されるようになったが、やはり収益には直結しなかったようで最近は脇役での出演が目立つ。映画でも大成功している『ER』出身のジョージ・クルーニー、『フレンズ』のジェニファー・アニストンなどは非常にレアなケースと言わざるを得ない。
The Most Overpaid Actors In Hollywood(カッコ内は1ドルの報酬に対する利益)
1位 エディ・マーフィー(2.3ドル)
2位 キャサリン・ハイグル(3.4ドル)
3位 リース・ウィザースプーン(3.9ドル)
4位 サンドラ・ブロック(5ドル)
5位 ジャック・ブラック(5.2ドル)
6位 ニコラス・ケイジ(6ドル)
7位 アダム・サンドラー(6.3ドル)
7位 デンゼル・ワシントン(6.3ドル)
9位 ベン・スティラー(6.5ドル)
10位 サラ・ジェシカ・パーカー(7ドル)
Michael Yada / (C)A.M.P.A.S.