映画監督のクエンティン・タランティーノが25日、ニューヨーク・マンハッタンで行われた警官の銃撃を非難するデモ行進に参加した。これは警官によって殺されてしまった人々への正義を求めて結成された団体「RiseUpOctober」の呼びかけで実現したもの。集った人々は警察が張った非常線に沿って、メガホンでこれまでに起こった悲劇について叫び、被害者の写真と「警察のテロを止めよう!」と書かれたプラカードを掲げながら歩いた。
2014年、ミズーリ州ファーガソンで白人警官が黒人少年を射殺した。この警官が無罪となったことで暴動が起き、未だ根強い人種差別問題が浮き彫りになったことは記憶に新しい。米国では今も白人による黒人射殺が驚くべき頻度で発生している。
この警察の“横暴”にいてもたってもいられず、急遽カリフォルニアから飛んできたのがタランティーノだ。
「僕は良心を持つ人間だ。殺人が今も続いていると思うなら立ち上がるべきだよ。僕は殺される側の人間として話すためにここにいる。殺人を見るたび、はらわたが煮えくりかえる。人殺しは人殺しと呼ぶべきだ」
このようにタランティーノはスピーチで警官を「人殺し」と呼び、それに倣うよう群衆に呼びかけた。
ニューヨーク市警をはじめとした全国の警察官によって組織される「パトロール警官慈善組合(Patrolmen’s Benevolent Association)」の責任者パトリック・リンチは、タランティーノの発言に激怒。
「犯罪を称賛するような人間が警官嫌いになることは当然だ。クエンティン・タランティーノが人殺しと呼ぶ警察官は、彼の描く堕落した映画の中には存在しない。彼らは危険を冒し、時には自身の命すら犠牲にして本物の犯罪から社会を守っている。ニューヨーク市民はこの変態の伝道師に言ってやるべきだ。あんたの中傷的な“コップ(警官)・フィクション”を売り込みに我が町の土を踏ませてやる道理はない、と。さあ、タランティーノ作品をボイコットしよう」と声明を出した。
来たるクリスマスにはタランティーノの最新作『The Hateful Eight』が公開されるが、劇場に警察関係者が足を運ぶことはないかもしれない。