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ヘザー・クラークは4歳になるジョーダン・ドレイクの胸に聴診器をあて、耳をすました。そこから聞こえてきたのは、力強い鼓動。約3年前に亡くなった愛息ルーカスの心臓は、確かに命の音を刻んでいた。

2013年6月、ルーカス・クラークはわずか生後7か月の短い一生を終えた。何の前触れもない突然死だった。悲嘆に暮れながらも、母親であるヘザーは息子の臓器提供を決意。その結果、3人の子どもの命が救われた。この内の1人がジョーダンだった。

ジョーダンは先天性の心臓疾患を抱えて生まれ、生後18か月の時点で6回に渡る心臓手術を受けていた。この先、ジョーダンが成長するには新しい心臓が必要であることを、ジョーダンの母親ゴンザレスは痛感していた。しかし、心臓がもらえるということは、その持ち主である子どもの死を意味する。ゴンザレスは葛藤しながらも、ドナーを待ち続けた。そして奇跡は起こった。ルーカスの心臓が、ジョーダンの体に適合したのだ。移植手術は速やかに行われ、ジョーダンは命の贈り物を受け取った。

「私がどれほど、この女性(ヘザー)に感謝しているか……。『ありがとう』なんて言葉じゃとても言い表せないわ」とゴンザレスは語ったという。

その約3年後の先月29日、ヘザーとジョーダン親子は初対面を果たした。臓器移植コーディネーターのジャクリーン・カイデルによると、ドナー家族と受容者家族が直接的なコンタクトを取る例は全体の5%ほどであるという。

息子の心臓の音を聞いて泣き崩れるヘザーに、ゴンザレスはこうささやいた。「あなたの赤ちゃんよ」。

この様子はCBSで放送され、大きな反響を得た。双方の親は、この放送が臓器提供について考える機会となってくれれば、とコメントしている。

ヘザーはジョーダンの高校卒業式や結婚式など、人生の大きな記念日を共に祝っていくつもりだという。

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