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映画監督クエンティン・タランティーノはかつて、生涯で作る映画は10本のみであると明言した。過日公開された『ヘイトフル・エイト』は8作目となる(『キル・ビル』シリーズは1作にカウント)。現在開催中のエルサレム国際映画祭で、タランティーノが自身の今後について言及した。
「10作目で止めようと思ってるよ。だからあと2本だね」と、初志貫徹を宣言するも、「75歳になって、もしやりたいストーリーがあったらやるとは思う。もう10作を作った後だと思うから。でも、クソ老人になってから作ったものはたぶん老人のための作品になるよね。だから、10本と同じ棚には絶対に並べない。それなら10本は汚されないだろ?」と、含みを持たせた。
つまり、1992年の『レザボア・ドッグス』から始まる10本がタランティーノの“本編”であり、その予定は覆されることはないが、“番外編”の可能性は残されているということだ。どの業界にあっても、若くして発せられた引退宣言は、概して撤回されることが多い。タランティーノは彼ならではのレトリックで、引退宣言は有効にしたままでさらなる道を示してみせた。変人かつ天才たるタランティーノの作品作りは死ぬまで続くのだろう。