Jessica Whelan – A fight against Neuroblastoma /Facebook
先月29日にFacebookでシェアされた1枚の写真がネット上を席巻している。痛みで顔を歪め、体をよじらせる少女の写真だ。
4歳のジェシカ・ウェランちゃんはステージ4の神経芽細胞腫と闘っている。小児がんの一種であり、進行が早いことで知られるこの病気は子どもの小さな体を次々と蝕み、あっと言う間に全身に転移してしまう。
「拷問のような苦しみから目を背け、人生の喜びだけを写すことはあまりに簡単です。写真家として重要なのは、今の状況の真実と現実を捉えること。これは、今まで撮ってきたなかでいちばんつらい写真です。実は、これは私の4歳の娘なのです」
写真を撮影し、Facebookに公開したのはジェシカちゃんの父、アンディさんだ。小児がんの真の恐ろしさを広く知ってもらえるよう、痛みに苦しむ娘のありのままの姿をあえて写真に収めた。あまりの痛みに、ジェシカちゃんはベッドの傍らにいた両親を押しのけ、1人で歯を食いしばり続けた。そんな娘を前に為す術もなく立ち尽くすだけだったアンディさんが、自身の無力を痛感しながらシャッターを切ったのがこの写真なのだ。
「これこそが、がんの真の姿です。皮膚に血管が浮き出ている私のかわいい娘の頬には涙が伝い、体は硬直し、顔は痛みに歪む。日々親が直面するこの光景を表すために、1000の言葉を使うこともできたでしょう。しかし、百聞は一見にしかず、です。不快感を与えるとか、動揺を誘うのが目的ではありません。この写真の背景を知ってほしいのです」
この切実なメッセージは世界中を駆け巡った。Facebookのポストには36,000回を超えるリアクションと、多数のコメントが寄せられた。早速行動を起こした人々の中には、ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズがいた。彼はアンディさんに連絡を取り、FaceTimeかビデオメッセージを通じてジェシカを元気づけたい、と申し出たのだ。アンディさんは録画されたメッセージを希望し、スタイルズも快諾。できあがり次第メールで送ることを約束してくれたという。
13か月に渡り、ジェシカちゃんは辛い治療に耐えてきた。しかし、両親はこれ以上の治療をしないことを決めた。医師から「もう、何もできることはない」と告げられたからだ。
「娘を失うなんて、考えたくもありません。今後数週間が、共に過ごせる最後の日々だと言われました。痛みを和らげるためにモルヒネにたよっていますが、幸せなようです。ジェシカはたった4歳で何もわかっていません。ずっと、このままでいたい」と、母親のニッキーさんは絞り出すように語る。
ジェシカちゃんの最後の日々が素晴らしいものになるよう、有志によるクラウドファンディングも立ち上がった。目標額は2万ポンド(約256万円)に設定されていたが、早くも7万ポンド(約898万円)を超えている。考え得る限り最高の思い出を作ってあげてほしい、と節に願う。