自身が設立したエイズ基金15周年パーティーに夫と登壇したエルトン・ジョン
(写真:ロイター/アフロ)
来年1月20日、ドナルド・トランプ氏は聖書に左手を置いて宣誓を行い、第45代アメリカ合衆国大統領に就任する。就任式の最大の見どころは新大統領の演説だが、大物ミュージシャンによるパフォーマンスも毎回注目を集めている。オバマ大統領の就任式では、アレサ・フランクリンやヨー・ヨー・マが圧巻のステージを見せた。8年ぶりに政権を取り戻す共和党が選ぶアーティストは一体誰なのか──その選定はどうやら難航しているようだ。
選挙戦でトランプ陣営の顧問を務めたアンソニー・スカラムッチ氏は23日、BBCラジオに出演し、エルトン・ジョンが就任式に出演してくれるかもしれない、と発言。同日放送のBBCのテレビ番組「ハード・トーク」でも同様の展望を口にした。
しかし、ジョンの広報担当はすぐさま「まったく事実とは異なります。エルトンはトランプ氏の就任式では歌いません」と、これを断固として否定。
自身もオープンリーゲイであり、同性愛者の権利活動家であるジョンは、性的マイノリティ支援を明言するヒラリー・クリントン氏の資金集めに協力していた。共和党は伝統的に保守の立場を取り、中絶や同性愛には否定的だ。実際、トランプ氏も昨年の同性婚を認めた最高裁の決定に異を唱え、同性婚は違憲であると表明している。しかし、7月に共和党候補として正式指名されてからは態度を軟化させ「自分は同性愛者の味方」などと発言していた。
今年はじめの集会で、トランプ陣営は無許可でジョンの楽曲「ロケットマン」を使用し、ジョン側から「支持者だと思われては迷惑だ」と猛抗議を受けていた。このような関係で就任式への出演を打診することすら無謀なのに、なぜ先走ってラジオで喋ってしまったのか……スカラムッチ氏の行動は不思議というしかない。