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28日、トランプ大統領がシリアなどからの難民の受け入れを停止する大統領令に署名した。空港では中東からの渡航者が入国を拒否され、抗議した数十人が拘束される事態に発展。新大統領のあまりにも強硬な政策に、米国各地でデモや抗議集会が続々と開かれている。
そんな折、トランプ大統領の娘イヴァンカ・トランプが、夫である上級顧問ジャレッド・クシュナーと揃ってきらびやかに盛装した写真(https://www.instagram.com/p/BP1fuJsAeiK/)をSNSに投稿。まばゆい光沢を放つシルバーの豪華なドレスを身につけ、清々しい笑顔を浮かべたこの写真が、空港で抗議集会を開く群衆の写真と並べられ、「まるでマリー・アントワネットだ」と非難を浴びている。
ルイ16世の妃であるマリー・アントワネットは、第三身分の平民から税金を搾り取り、贅沢の限りを尽くした悪女とのイメージが強い。国民の暮らしに目を向けることもなく、「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」などと発言したとも言われている。近年の研究ではこの言葉は古くから存在し、アントワネットの不見識を表すものではないことがわかっているほか、実は国を思う心を持った愛すべき王妃であったとする説が有力だ。しかし、今イヴァンカになぞらえられているのは、悪女の方のマリー・アントワネット像だ。
確かに2枚の写真が並べられていると、王宮にパンを求めて殺到する民衆と、それを意に介することもなく着飾る権力者、という構図にマッチしているように見える。イヴァンカのInstagramには「自分たち以外の民族を認めないおまえの父親はヒトラーだ」「恥を知れ。子どもと引き離されて二度と会えなくなるような目に遭ってみろ」「ケーキを食べてろってか? このやろう」などといったコメントが凄まじい勢いで寄せられている。「とってもきれい」「素敵なカップル」というポジティブなものも多少は散見されるものの、ヘイトが圧倒的に多い。
アメリカは移民によって創られてきた国だ。シリコンバレーのベンチャー企業は半数以上が移民によって起業されている。台湾出身のジェリー・ヤンはYahoo!を共同創業し、ソビエトから移住してきたセルゲイ・ブリンはラリー・ペイジと共にGoogleを作った。宇宙事業にまで手を広げたテスラのイーロン・マスクも南アフリカからの移民だ。トランプ大統領の移民政策は、将来こうした起業家が誕生する可能性を潰してしまうかもしれない。
テロを防ぐ前に国力の低下を招きかねない政策を強行する大統領一家と、それに反発する多くの国民。現在のアメリカは、革命の機運が高まっていった1700年代後半のフランスのようだ。