「シナリオを読んで、5時間で出演を決めました。主人公は殺し屋ですが、一般的なイメージと違って、普通に会社員として出勤している意外な設定が、面白いと思いました」

映画『ある会社員』でソ・ジソブが演じる主人公ヒョンドは、契約殺人が専門の会社に勤めるプロの殺し屋だ。会社への忠誠心が高く、任務は着実に遂行する「超・仕事人間」。ふだんは、会社は金属貿易商を装い、ヒョンドも平凡な会社員として暮らしている。

「『普通の会社員』の外見になりきるため、あえて体の線を見せないスーツや、白いワイシャツを身につけました。リラックスしたいときにはネクタイを緩め、仕事に取り掛かるときは締め直す。そんな仕草にもこだわりましたね」地味な印象のヒョンドと、モデル出身でトレンドリーダーとして知られるジソブとは、一見、真逆に見える。しかし、「ヒョンドにとても共感できる」とジソブは話す。

「自由に映るかもしれませんが、芸能界は時間や仕事に厳しい世界。ドラマの撮影に入れば、睡眠時間の削られる生活が続きます。また、演じながら、ハードな兵役時代も思い出しました。金曜日がくるとうれしくなり、月曜日には憂鬱になる、そんな『月曜病』も理解できます(笑)」

デビューから18年、1月には韓国でミニアルバム『6時…運動場』をリリースした。2月、東京国際フォーラムでのファンミーティングでは、ステージで初めてヒップホップの歌とダンスを披露した。「緊張しましたよ。普通の歌は苦手なのですが……ラップは得意なんです(笑)。歌は、演技より表現の自由度が大きいのが魅力。でも、歌手になりたいわけではなく、楽しめる範囲で続けていきたい」

遊ぶように楽しく働き、働くように必死で遊ぶのがモットー。映画の最後に、ヒョンドがアルバイトのフンに言うセリフは、自らが考えて、監督に提案したものだという。「『好きな人と幸せに生きろ!身を粉にして仕事ばかりするな』。これは僕自身に投げかけている言葉でもあり、観客に伝えたいセリフでもあります。みなさん、ハッピーに働いていますか?」

そ・じそぶ★

’77年11月4日生まれ、韓国・ソウル市出身。学生時代は水泳の国家代表選手。’95年、アパレルブランドのモデルに選ばれ、芸能界デ
ビュー。’97年にドラマ『男女6人恋物語』のコミカルな演技で注目を浴びる。代表作にドラマ『バリでの出来事』『ごめん、愛してる(』ともに’04年)
『、ファントム(』’12年)、映画『映画は映画だ(』’08年)『、ただ君だけ(』’11年)などがある。

 

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