’12年にデビュー40 周年を迎えた、天童よしみ。その集大成ともいえる座長公演が、幕を開ける。
「今回は、これまでの公演とは趣きを少し変えて、お芝居の中に昭和の名曲を入れました。お芝居で歌うのは、初めての試みです」
第一部の舞台は、江戸時代の大阪。ぜいたく禁止令が出された中、彼女が演じる、よろずやのおよしが、町人たちのピンチを救うべく、芸者になってお代官に物申すというストーリー。笑いあり、涙ありの人情もので『明治一代女』『お祭りマンボ』など、昭和を彩った曲の数々が登場する。
また今回、彼女は初めての一人二役に挑戦する。底抜けに明るいおよしのほか、その正反対でおっとりとした、よし乃役を演じるのだ。〝早替え〞も見どころとなる。
「性格も口調も変えて演じないといけないのですが、どちらかというと、私はおよしのほうに似ていますかね。『悪いやつは絶対、許せない!』って思うところとか(笑)。角兵衛獅子(かくべえじし)などの扮装もあったりと、展開が速いので、お客さんにはワクワク感を感じていただけると思います」
共演は、過去に相手役を務めた布川敏和をはじめ、大津嶺子らベテランの俳優が揃う。
「布川さんとはいちばん息が合っているし、共演もおなじみのみなさん。私がセリフに詰まっても、きっと助けてくださると思います(笑)」
9月3日に発売されたCDシングル『孔雀貝の歌』は、BEGINがプロデュースしたもの。ボーカルの比嘉栄昇が東北地方の海を訪れた際に書きとめたものをもとに、作詞・作曲された。
「これまでの私の曲とはがらりと変わっています。以前、比嘉さんとは『一期一会』というアルバムの中で、『珍島物語』をBEGINの演奏で同時録音させていただいたことがありました。それ以来、私に曲を作りたいとおっしゃってくださっていて。今回、やっと願いがかないました。悲しい思いが込められた内容を、素直な感じで歌っています」
デビュー41年目の、新たな一面を見せる曲となっている。ちなみに今、プライベートでは、納豆とハチミツにハマっているのだという。
「いろんなタイプの納豆を買って、毎日食べています。トーストにのせると本当においしいんですよ、これが。ハチミツも大好きで、ホットドリンクにして飲んでいますね」
舞台を乗り切るエネルギーの秘訣は、食にあり!?
てんどう・よしみ
9月26日生まれ、和歌山県出身。’71年、吉田よしみの名で『大ちゃん数え唄』を発売。’72年、『風が吹く』で本格的に歌手デビュー。代表曲に『道頓堀人情』『珍島物語』などがある。『NHK紅白歌合戦』には、これまで17回出場している。
舞台『歌いつづけて40年― 天童よしみ歌謡大全集』
10月20日(日)~11月4日(月)、大阪・新歌舞伎座にて。詳細は新歌舞伎座ホームページまで