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「会うと幸せになれる」という、セーラー服を着たキモかわいいおじさん。それがセーラー服おじさんこと小林秀章さんだ。ネット上で話題になり、最近ではメディアへの露出も増え、すっかり有名人に。
取材は、店主の飼い猫がいる喫茶店で行われたが、それにあわせて猫耳カチューシャで現れたサービス精神のよさ! 声は渋いテノールで、上品な語り口。撮影にもとても協力的で、キモかわ紳士であることがわかった!!

せーらーふくおじさん★

本名、小林秀章。62年12月2日生まれ、東京都出身。早稲田大学理工学部卒業。小学1年生の頃に初女装。普段はサラリーマンとし
て過ごしている。「じいさんになってもセーラー服おじさんをやっているほうが面白いですよね」ということで、世間の注目を浴びなくなってもずっと続ける予
定でいる。バツ1の独身。

セーラー服おじさんに会える場所

毎週、土曜日と日曜日。都内であれば、渋谷や新宿、秋葉原での目撃情報が相次いでいる。セーラー服は秋葉原、スクールバッグやセーターの小物は中野で買っている。

はじまりは、小学生。女の子のパンツが大好きで、スカートめくりが日課。ある日担任が罰として、皆の前でスカートを穿かせた。それが喝采を浴び、女装をするとウケることを覚えた。大人になってからは宴会で余興としてセーラー服姿に。10年からインターナショナルアートイベントのデザイン・フェスタにセーラー服姿で参加。そして運命の日、11年6月11日。神奈川県のとあるラーメン屋の企画「30歳以上でセーラー服を着て来店したら、ラーメン一杯タダ」のウワサを聞き、ひらめいた。事前にありとあらゆるシミュレーションをし、公の場でセーラー服を着て歩くことに!

――それで、どんな反応がありましたか?
「実際にやってみると何も起きないんですね。都会のスルー力を実感しました。それまで閉じた空間で余興としてセーラー服を着ていたんですけど、電車や公共の場で始めたのは3年前の6月です」

――この3年間で、怖い思いをしたことはないのでしょうか?
「男性から声を掛けられることは多いです。新宿の西口とかで男性にエッチなことを言われたりとか。私の指向は女性なので、男性に何か性的なことを言われても、リクエストに応えられない」

――新宿の歌舞伎町にも足を運ばれているようですが、危険な目にあったりとかは?
「強面のそういう人たちに『一緒に写真を撮ってくれない?』と、にこやかに言われたことはあります。土曜の夜とかは、繁華街を歩いていると後ろから酔っ払いにスカートをめくられたりして、それは怖いというよりむかつくというか。下着は女性用のものを履いていて、めくられてもいいように、紺のオーバーパンツを履いています」

――小林さんは女装家とは違うんですよね!?
「そうですね。フェティッシュに近いのかもしれません。かわいいヒラヒラしたものが好きなんです。女装バーですと、仕草もしゃべり方も全部女性になりきっている人がいますけど、完璧すぎると面白くない。そういう人はトイレも女性用に入れちゃうし、なんの問題もない。それは自分の中で面白くなくて。アンバランスが面白いと思っているので」

――ということは、今後、メイクなどをする予定はなさそうですね!?
「無精ですから、ないですね。女の子の格好にこだわりはあってもメイクは面倒くさいなと思うほうです。セーラー服を着るにあたってすね毛を剃るだけでも面倒なのに、これ以上やるとなると、準備が大変で、出かけるのが大変だぞと」

――会うと幸せになれるという伝説がありますが、じっさいに「セーラー服おじさんにあって、幸せになれました」という連絡が来たことはありますか?
「いいことがあって、それはセーラー服おじさんに会ったせい? ということはツイッターなどで見ますね。皆、ゲームとして楽しんでいると思います」

――幸せを与える立場ですが、小林さん自身、セーラー服おじさんを始めてから運気があがったりしましたか?
image「『写真、一緒に撮ってください』と女子中高生に言われて、『ありがとうございました。握手してください』と笑顔で感謝される。そしてハグしても許される。普通に道を歩いていて、そういうことってありえないじゃないですか? みんな、警戒を解いちゃう。中身はおっさんということに気がついてない(笑)。じつは本人が一番幸せになっているのではなかろうかと思っているくらいです」

――逆に洋服を着ているときもあるんですよね?
「平日は会社に行っていますから、洋服ですね」

――洋服を着ているときに『あの人、セーラー服おじさんだよね』となることは?
「もう、めちゃくちゃ気づかれています。ツイッターでエゴサーチすると、『セーラー服おじさん、今日は普通の格好だった』とか。あとは声を掛けてくる人がいますよね。『セーラー服おじさんですよね。写真を撮らせてください』って。バレているんだなと」

――職場の人たちのセーラー服おじさんへ対する感想などは聞いたことがありますか?
「同僚は元から知っていて、多分、味方で、おもしろがっているかなと思いますね。早稲田塾の特別公開授業に出たときに、上司に呼ばれて、詳細の説明を求められましたけど、咎められるようなことはないということでした。ですので、これからは気兼ねなく出来るということです(笑)」

――早稲田塾の特別公開授業の動画を拝見したら、流暢な英語を話されていました!
「あれは全然ですよ。あの英語を出されることのほうが、セーラー服で外を歩いているときよりも10倍恥ずかしいです。英語のプロが見たら、いんちきなのがバレるレベルなので。その程度のレベルなのであれは赤面ものです」

――特許権者というのも話題になっていますが。
「英語が堪能だとか、特許を持っているだとか、変なおじさんだと思ったら、けっこうすごかったみたいな言われ方をしていますが、特許は会社で出しているので発明者なだけで、会社に権利を譲渡しています。ですから、正確にいうと特許権者ではないんです」

――ところで小林さんの趣味とは。
「セーラー服おじさん自体が趣味というのがありますけどね。最近はセーラー服おじさんで忙しいのもあって、全然撮っていませんが、人形の写真を撮っています。人形作家さんの作品と私の写真を展示したのが最後で、それ以降は撮っていないです。去年の10月か11月ぐらいから撮っていませんね」

――先日、中国に行かれたときもすごく有名だったということですが。
「日本で歩いていて、中国の人に『あなた、中国でも有名ですよ』と言ってくれる方がいたんですけど、じっさいに中国へ行ったら、自分が思っていたよりも知られていました。『写真を撮らせてください』って言われたりして。中国にはツイッターのかわりにウェイボーというのがあるんですけど『水手服爺爺(中国語:セーラー服おじさん)』というアカウントをつくったら、一晩で1万フォローがありました」

――え、それはすごい! 中国でも人気で、フランスでのジャパンエキスポでも、自宅からセーラー服で出かけて行き、何事もなく無事に帰国されたそうですが、ほかに行ってみたい国はありますか?
「タイですね。タイでもわりとセーラー服おじさんは知られているみたいです。メイド喫茶のチェーン店もありますしね。イベントとかにあわせていつか行ってみたいですね」

――現在は、都内中心の活動ですが、地方で活動予定はありますか?
「何かイベント等があったら行きたいと思っていて、先日、プライベートで鹿児島に行ってきましたが、セーター服おじさんを知っている人に会いました。どこまで行ったら、自分のことが知られていないかを知りたいですね」

――今後も時間があればセーラー服おじさんを続けていく予定でしょうか?
「時間があるというよりは、土日はもう、自然に着ていますからね。いつも、何かイベント等の予定があってそこに向かって行くという感じです。通常、30分くらいで到着する場所も、声を掛けられたりして2時間ぐらいかかって。そういう感じで過ごしていると、なんだかんだで一日が終わっているという(笑)」

――バツ1ということですが、今後結婚のご予定などは?
「本来は、かみさんや子供に使うお金を自分のために使っちゃったんで、今さら結婚してもなぁと思います」

――60歳、70歳になっても、セーラー服おじさんを続けられるのでしょうか!?
「そうですね。じいさんになってもやっているほうが面白いですよね!」

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