若手アーティストとして注目を浴びているチアキコハラ。心が華やぐメルヘンチックな色使いに、3頭身の女の子や動物たちを描くのが特徴だ。
ちあき・こはら★
86年7月7日生まれ、大阪府出身。07年、UNIQLOCREATIVEAWARD で草間彌生賞、10年玄光社「ザ・チョイス」宇野亜喜良審査入選などの受賞歴がある。
11年には、銀座ソニービルに全長38mの大壁画の制作をした。現在、国内外でアートイベントや個展を行うなど、各地で精力的に活動中。
(インフォメーション)
チアキコハラと日本の革小物職人がコラボした三越伊勢丹オリジナル「カルチャー&アートウォレット」
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¥28,080(税込)
――チアキコハラさんの作品といえば、女の子や動物をテーマにされているものが多いですよね。
「たしかに男の子をたくさん描いたことがないんです。男兄弟の中で育ったので、どちらかというとボーイッシュで、小さい頃はスカートもあまり履かなかったり。絵には女の子が好きなケーキやマカロンを描いたりしていますが、私は甘いものが苦手で焼きうどんやかつ丼が好き(笑)。昔から女の子を客観的に見て、憧れている部分があって、自然と女の子をモチーフにしていますね」
――女の子の表情が、何か企んでいそうな作品もありますよね。
「女の子のうそつきで甘えん坊でいじわるでいじっぱりなところとか、自分自身もそういうところがあるので、それが絵に出ているのかなと思っています」
――女性の一筋縄でいかない部分ということでしょうか?
「そうですね。素直じゃない部分が描きやすいというか。男の子はビジュアル脳といって、可愛い、きれい、かっこいいとか、見た目から入るのが特徴らしいんです。女の子は外見だけじゃなくて、中身も重視する。内面で捉えるからこそ、女の子は裏表があったり、口にしないけど、心の中ではいろいろと思っていたりする。そういうこんがらがった部分が私は大好きなので、それが私が描く女の子の表情に出ているのかもしれません」
――食パンの袋をとめるクリップやお菓子の袋なども作品に取り入れていますが、そういったものを使用する理由をお聞かせください。
「学生の頃、砂で絵を描こうという授業があって、木の板にボンドを塗りバラバラと砂をかけるとボンドのところだけに砂がついて、それを作品にするという授業だったんです。それが作品だと言われたときに、描くものが紙、材料は絵の具、など限定せず素材は何を使ってもいいんだという、大きなきっかけになったと思います。バンドエイドとか、そのとき風邪気味で飲んでいた薬とか、あとで見るとそのころの自分の状況がわかって、面白いんですよ。基本、使っているのはアクリルですが、白い紙にアクリルで描くだけでは何か物足りないというか。画面の凸凹やざらざら、描きにくいものに描くことで、ドキドキワクワクしたりするんです」
――やはり、小さい頃から絵を描くのは好きだったのでしょうか?
「トイレにも紙とえんぴつを持って入るくらい絵を描くのが好きでした。でも、それだけではなくて、外に出て運動するのも好きで。外の世界は刺激的で面白い物がたくさんあるので、そのパワーを吸収して絵に放出するという感じでしたね。走るのが大好きだったので学生の時も陸上部に入っていて、実は美術部には一度も入ったことがないんです」
――そのときから絵を描くことで生活をしていきたいと思っていたのでしょうか?
「漠然とですけど、自分は絵を描くことが好きだから、絵を描くしかないのかなと思っていました。10代のときから未来の自分を予想していて、何歳でこんな賞を取って……ということを書いていたんですね」
――そのときの予想を達成できていますか。
「遠回りしながら、予想より1年ズレたりしながらも、必ずちゃんと達成していますね」
――草間彌生賞ですとか、若くしていろいろな賞を受賞されていますよね。
「いやいや〜!私にとってはもう過去のことです。いただいたときの最高の喜びの瞬間はもう終わったので、今はもう過去になっています。私は常に『今の自分が一番』なので
過去のことはもうあまり気になりません」
――好きな芸術家とか影響を受けた人っていらっしゃいますか。
「芸術家ではないのですが、マイケル・ジャクソンは好きで憧れています。彼はミュージシャンですが、音楽を通じて世界中の皆に沢山の愛を与えていて、彼の存在や思想や言葉はとてもかっこいいと思います。ジャンルに限らずあんな風に影響力のある人になりたいですね」
――ところで、チアキコハラさんが描くことで表現したいこととは。
「どちらかというと、私の絵を見て、こういう気持ちを読み取ってください、感じてくださいというよりも、私自身や私の絵が、皆の可能性を広げられるきっかけになる存在であればいいなと思っています」
――トレードマークともいえるピンクのつなぎについての質問をさせてください。やはりピンクがお好きなんでしょうか?
「じつはピンクは、あまり普段は身につけないんです。つなぎに関しては、買おうと思ってネットで見ていたら、在庫がピンクしかなかったという衝撃の事実です(笑)。うしろ姿で描いているので、いかに人に見てもらうかは大事で、それには自分自身がキャッチーなほうがいいなというのはありました。ピンクのつなぎにリボンなら、皆の印象に残ってもらえるかな、と」
――しょこたん(中川翔子)似と言われることに関してのご感想は?
「……大変恐縮で、中川さんに申し訳ないです(笑)。もし、容姿が少し似ていたとしても、中身は全然別人なので、私は私。いい意味で、チアキコハラと認識していただけるようになっていこう!と思っています」
――では最後に今後の夢をお聞かせください。
「どうなるのかが私自身もすごく楽しみで、もしかするとこの先絵を描いていないかもしれないです(笑)。もっと自分がわくわくすることがあったらそちらに移行しているかもしれませんね。ただ私は、絵が好きだし、絵しか描けないから今は、それを放出している。今後も、近くにいるお絵かきちゃんという身近な存在でありながら、自分自身もキラキラ輝いて、たくさんの人を明るくきらめかせる人になりたいです!」