「福島第一原発事故による放射能汚染は、“冷温停止状態”と政府が宣言し、一息ついたと考える人もいるかもしれませんが、それはまったく違います。現に、東京都内では放射線数値は逆に上昇しているのですから」
ジャーナリストの有賀訓氏は、3台の小型線量計を手にしながら本誌にこう語った。有賀氏は事故直後から大学教授らと連携し、線量計を片手に福島原発周辺だけでなく、日本全国を駆け巡り、各地の放射線量を計測し続けている。
「6月に東京都が“都民に安心してもらうために”と、子供が長時間過ごすエリアを中心に『都内100カ所放射線量調査』を行ない、放射能汚染の心配はないとアピールしました。が、数値があまりにも低かったので、そのうちの2カ所を実際に同じ方法で測ってみたら、どちらも発表の2倍近い数値が出たんです」
そこで、有賀氏は東京都内各所、首都圏のホットスポットでの定点観測を開始。東京都健康安全研究センターが定期的に発表している都内の放射線数値は、原発事故前よりも倍近い数値が観測されているが、低線量を維持している。しかし、有賀氏が同じ機器を使い計測した新宿近辺の数値はセンター発表よりも3〜4倍も高かったのだ。有賀氏は語る。
「東京都が発表したデータより、実際に測定してみたら数値が高いところが98カ所あり、ひどいところでは5倍もの差がありました。計測ポイントは、放射能の影響を受けやすい子供たちが長時間過ごす場所が多い。東京都が安全であることを強調するために、無理やり数値を操作しているのでは、と疑ってしまいます」
【関連記事】
・汚染地域の放射性物質は風に乗って全国に運ばれていた
・福島の母 密着!「放射能との闘い」6カ月
・被曝危険牛4300頭は“検査なし”で全国出荷された