超未熟児で生まれたパンダが、奇跡の成長をとげている。’06年夏、中国成都パンダ研究基地に双子のパンダが生まれた。うち1匹は、わずか51グラムの超未熟児。そのパンダは中国語で51を意味するウー(5)イー(1)と名付けられた。
パンダの母親は”丈夫な1匹”しか自発的に育てないため、小さなウーイーは母親のチージェンに育児放棄される。人工保育では、ウーイーより大きな60〜70グラムの赤ちゃんでさえ、生き延びた例はなかった。
そのため、飼育員は必死に採取したチージェンの母乳を飲ませ、24時間つきっきりで世話をした。生後9日目に母親の元に帰せたのは、奇跡と呼ぶ以外にない。
この成長記が『51 世界で一番小さく生まれたパンダ』(2月11日からユナイテッド・シネマほか公開)として映画になった。塩浜雅之監督はこう語る。
「本作は、ウーイーの成長記とえりすぐりの可愛い子パンダの姿を縦糸、自然界の厳しい掟や母と子の切ない絆を横糸に、私たちが初めて見るパンダの世界を織り上げました」
51グラムという超未熟児で生まれたウーイーだったが、生後1カ月には、兄のルーシュイとほぼ同じ大きさとなり、1歳になるころにはワンパクな性格で、日中はいつも元気に屋外を駆け回るまでに成長した。
そして、今年6歳になるウーイーの体重は100キロを超え、この春には最初の発情期を迎えそうとのこと。世界でいちばん小さかったパンダは、大きく立派なオトナになっていた。