昨年12月21日深夜0時12分、京都市動物園でひとつの命が誕生した。西アフリカの熱帯雨林に生息する絶滅危惧種、ニシゴリラのゲンキ(25)が出産。日本初の”国内生まれ4世ゴリラ”となるのだ!

だが、小さな小さな男の子はだんだんと衰弱していき、誕生5日目から人工保育に切り替えられたという。人工保育チームのチーフで、赤ちゃんの親代わりとなった長尾光徳さん(48歳・172センチ・77キロ)の飼育日記にはこう綴られている。

《12月25日 赤ちゃんは朝から元気がなく、鳴き声も小さい。母のゲンキにしがみつく手足に力がなく、かなり危ない状態。やむなく人工保育切り替えの決断。連れて行こうとすると、ゲンキが鋭く鳴く。可哀そうだが赤ちゃんを助けるためだ。検査の結果、赤ちゃんは脱水症状、低体温症。(中略)体長28センチ、体重1674グラム》

それからというものの、飼育員たちが交替でつき添い赤ちゃんの世話を続けた。親のもとに返したときに赤ちゃんが戸惑わないよう、長尾さんの奥さんが黒い毛布で作ったポンチョを着用しゴリラっぽくしていたという。

おかげで年が明けると、首もすわって目でモノを追うようにもなり、今ではすっかり元気いっぱい! ただ、お通じがなかなか出なくなり苦しそうな表情を見せることも……。

《1月30日 いちばん長くいる私のことを、認識し始めている。私が排泄のためお尻マッサージを始めるとすぐに排泄してくれるが、ほかの職員だと時間がかかるのだ。目がだいぶ見えてきている。体重2966グラム》

赤ちゃんにとって親代わりの長尾さんの手は、まさに「神の手」。2月に入ると、両手を前に差し出しだっこをせがむまでになったという。ベビーの可愛さに、長尾さんもメロメロ。一般公開は3月下旬になる予定だ。

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