東京電力がこの4月から企業向け電気料金を平均17%値上げする、との方針を発表した。原子力発電所の停止に伴い燃料費が増加することなどを理由にしているが、国民生活への影響は必至。政界からも批判の声が高まっている。

昨年東電本店を退社し、現在は首都圏内の地元企業に勤める30代の男性Aさんは言う。

「値上げは仕方がないと思っています……。東電は賠償金を払い続けなければいけない。仮にこのまま値上げできないとどうなるか。東電に賠償金を払い続けさせないと、結局は国民からの税金を投入することになってしまいます」

事故後、東電の隠蔽体質が次々と明らかになり、国民との信頼関係は地に落ちた。実際、社内で働く社員たちの目にはどう映っていたのか? Aさんはこう告発する。

「隠蔽体質というのは社内で感じたことはないですが、事故後、上層部の迷走ぶりには振り回されました。東電という会社は昔から外部に任せる体質なんです。すべてではないですが”メーカー任せ””下請け任せ”が当たり前で、自分たちでは何もやらない。原発にしても、米国のメーカーに頼りすぎていたのではないかと思います」

隠蔽というより、自分たちは何もしていないから判らないということか。電力供給を独占する大企業のおごり体質は社員にも染みついており、このままでは変わらないとAさんは自戒を込めて指摘した。

「外部に任せることで自分たちの責任は果たしたつもりになる。仕事を右から左へ、あるいは上から下へ、という意識は確かに社員にもありました。社員にとっていちばんショックだったのは、会社が潰れるよりも、安全だとみんな信じきっていた原発があれほど大きな事故を起こしたことなんです」

関連カテゴリー: