「ワイルドだろう?」の決め台詞で大ブレイク中のお笑い芸人・スギちゃん(38)。芸人生活18年。鳴かず飛ばずだったスギちゃんが、新春特番『新春爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)でレッドカーペット賞を受賞。3月の『R-1ぐらんぷり』では準優勝に輝き、ここに来て見事に花開いた。実はスギちゃんの母・百合子さん(70)と父・健さん(72)も、「まじかるタケシとチャイナ百合子」として28年間も舞台に立っていた夫婦マジシャンだった。母の百合子さんは、スギちゃんの子どものころをこう振り返る。
「ワイルドでもなんでもない、普通の子。でも、思いやりのある子でした。貧乏なうちの家計を気にしてか、『お母さん、そのうち俺が食わしたるから。待っててや』といつも言ってくれて……。その気持ちだけでもう可愛くてね」
男3人兄弟の末っ子だったスギちゃん。真面目だった兄たちとは対照的に、目立つことが好きだったという。子供のころは、野球少年だった。ところが小学3年生の終わりにかけて、生死にかかわる大手術を受けることになる。
「心臓に穴が開いているのがわかって、名古屋市内の病院に入院したんです。お医者さんから『このままだと、40歳ぐらいで亡くなります』と言われて……。それで手術を決意しました。1ケ月ぐらいの入院ですむはずが、肝機能まで悪くなって。結局、退院するのに5カ月もかかりました」
無事手術を終え、成長していったスギちゃん。高校卒業後は2年間、結婚式場で働いた後、芸人の道を歩き始めるも、それから18年間まったく売れない時代が続く。百合子さんは「あんた、いつまでやるの? と何回言ったことか」と苦笑する。そのたび息子は「待っといてや」と言い続けた。そんな苦労の末にR-1で準優勝を飾ったあと、百合子さんが電話するとスギちゃんは泣いていたという。
そして5月13日の母の日、スギちゃんから宅配便が届いた。中身は、ボディーシャンプーや乳液などの美容セット。18年間「待っといてや」と言い続けてきた、スギちゃんの初めての恩返しだった――。