三代目市川猿之助(72)の実子としての運命を背負い『市川中車』襲名を果たした香川照之(46)。6月5日の初舞台を目前に控えた5月末、都内の稽古場に入る香川の姿があった。
香川は、市川猿之助と浜木綿子(76)の間に生まれたが2歳のときに両親が離婚。以来父とは絶縁状態になり、歌舞伎界からも距離を置いて、映像の世界で役者人生を歩んできた。その香川に、父と和解し歌舞伎界に挑むことを決意させたのは、長男・政明くんへの思いだった。
「今回の公演は政明くんの『五代目團子』の初舞台も兼ねています。いわば親子デビューですね。息子を歌舞伎の舞台に立たせることを”父親の使命”だと、彼は言っていました」(歌舞伎関係者)
歌舞伎の家系に生を受けた息子のために、自らも梨園に入り父としての範を見せる。それは政明くんの誕生以来、香川がずっと胸に秘めていた宿願だったという。
「香川さんは、政明くんに2歳のころから歌舞伎を見せて、歌舞伎役者としての素地を養ってきました。多くの子どもが熱中するゲーム機で遊ぶことも禁止。5歳のときからは團十郎さんの家に通わせ、日本舞踊を習わせていましたが、すべて梨園に入るための厳しい訓練だったのです」(前出・歌舞伎関係者)
稽古が始まってからは、学校が終わるとすぐに母親の車に飛び乗り稽古場に通う毎日を送ってきた政明くん。「台詞は覚えた!」と自信満々のようだ。ついに現実のものとなった父の悲願。親子の挑戦の物語は、まさに幕が上がったばかりだ――。