「まずは、『お疲れさま』と声をかけてあげたいと思います。この4年間、この日のために本当に頑張ってきたと思いますので。よくやりましたと褒めてあげたいです」
競泳背泳ぎ100メートルで銅、200メートルで銀メダルを獲得した入江陵介(22)。地元・大阪で応援会場のモニターを見ながらエールを送っていた姉の南緒さん(28)は、弟の快挙をこうねぎらった。
4年前の北京五輪では周囲の期待という重圧に押しつぶされ、メダルを逃してしまった入江。一時は精神的に疲弊しきっていた時期もあった。そんなつらい時期を乗り越えて獲得した2つのメダルだった。銀メダルを獲得後、入江はこう心境を語った。
「ずっと金メダルを夢見てきてやってきたので、銀メダルの結果にちょっと後悔はあります。けどいろいろな人に支えられて、声をからしてまで応援してくれる仲間がいるなかで泳げたことは最高に幸せです」
4年前は自分のことで精いっぱいだった入江が、今回は周囲への感謝の気持ちを述べた。入江は昨年、叔父さんになっている。そのことも彼を成長させたようだと、姉の南緒さんは話している。
「2年前に私が結婚したのですが、披露宴では陵介が得意のピアノでゆずの『栄光の架け橋』を弾いてくれました。去年8月には娘が生まれたんです。それがちょうど陵介が海外の遠征から帰って来る日でした。夜になってもなかなか生まれなかったのに、陵介が駆けつけてくれると、それまで待ってくれたかのようにそのまま深夜に生まれました。陵介はこの子を抱っこしてくれました。なんだか、不思議そうな顔をしていましたね(笑)」
そんな姪・彩葉ちゃんも、もうすぐ1歳。日本での放送は深夜だったが、お母さんの南緒さんが作ったハチマキをした彩葉ちゃんは眠い目をこすりながら応援していた。
「この子の写真を見せると、陵介は笑ってくれるんです。今回も少しでも笑って緊張をほぐしてくれたらと思い、200メートル決勝の前にこの子の写メを送りました。『陵介おじちゃん 最高の笑顔を見せてね』というハートマーク付きのハチマキを巻かせ、応援メッセージを添えて送りました。そのおかげでしょうか。決勝ではリラックスしているように見えました」