「撮影の終盤、ロケ現場近くで銃撃事件が発生したんです。大使館からの要請で、出演者は緊急帰国することになりました」(撮影スタッフ)
吉瀬美智子(37)、佐藤浩市(51)、西村雅彦(51)らが8月4日からパキスタン入りして撮影された、来春公開の映画『草原の椅子』。だが、8月16日、撮影現場となったパキスタン北部のフンザからほど近い町で、銃を持った複数の男がバス3台を襲撃。イスラム教シーア派22名が銃撃され、死亡する事件が起きたのだ。背景にはスンニ派との宗教対立があると見られている。そもそもロケは、スタートからトラブル続きだったという。
「初日は、飛行機で北部に現地入りする予定でしたが、飛行機が飛ばないというアクシデントに見舞われ、急遽、標高4千メートルの山脈を約30時間かけてバスで越えることになったそうです。撮影中には、女性の吉瀬さんに現地男性の視線が集中。日本の女性が珍しいのか、取り囲まれる事態もあったそうです」(映画関係者)
そんな撮影の終盤に待っていたのが、銃撃戦による”恐怖の夜”だった。東映の天野和人プロヂューサーは、当時をこう振り返る。
「大使館からの要請で帰国したのではなく、もともとその日はクランクアップの日でした。帰りの飛行機まで時間があったので、みんなでお酒を飲んでいると『空港に向かう道が封鎖されていて帰ることができない』と連絡が入ったんです。スタッフが大使館に問い合わせると『数名が銃撃され死亡した。いつでも出発できるようにしておいてほしい』と言われました。帰国後すぐに仕事が入っている方もいたので、役者さんからは『どうしよう、大丈夫かな……』と心配の声も聞かれました」
本来19時ごろには出発する予定だったが、結局、出発できたのは深夜2時ごろ。2台のバスにそれぞれ警察が付いたが、外は真っ暗で、みなピリピリしていたという。帰国後、吉瀬は自身のブログで《無事に帰国出来て本当に良かったです》と胸をなで下ろしている。