「石原さんのいちばんの罪は”弱い立場の人を罵倒するのは痛快なんだ”という、とんでもない考え方を日本社会に植え付けてしまったこと。常に誰かを傷つけ、差別せずにはいられない人。子供じみたというより、子供そのもの」
というのは、石原慎太郎氏を題材とした『東京を弄んだ男』の著者である、ジャーナリストの斎藤貴男さん。石原氏の過激な発言には、コンプレックスが隠れているという。
「自民党の国会議員時代からのいわゆるタカ派。でも、実社会の厳しさも知らず、若いときから親に買い与えられたヨットを乗り回していたボンボンでしかありませんから、故・田中角栄氏ら叩き上げの人からは相手にされませんでした。弟の裕次郎さんへの劣等感もあわせてバネにしてきたとも言えるのでしょうが」
尖閣諸島近辺で領海侵犯する中国海洋監視船に対する石原氏の「追っぱらえればいい」という発言や、「シナ人」発言は、「中国人バッシングを利用して、自分を強い男に見せようとしているだけでしょう」と語るのは政治ジャーナリストの藤本順一さんだ。
「本人は知事の分際を越えた『核武装』など、刺激的な発言を繰り返して世論が騒ぐのを楽しんでいるんでしょうが、差別的発言は不愉快です」
前出・斎藤さんもこう語る。
「雑誌での『ババア発言』は許せません。子を産む能力を失った女性を、生きる価値がないと全否定しているわけですから。いじめ自殺予告の手紙が文部省に届けられたときは『さっさとやれ』と自殺を促すような暴言を吐いたり、政治家以前に社会人失格です」