2月4日の夜、世田谷区内にある俳優・宍戸錠(79)の自宅が全焼。周辺住宅3棟を含む計約270平米が焼ける火事に見舞われた。
宍戸は64年に約500平米の土地を購入し、2年後に2階建ての豪邸を建築。その家で、元女優でエッセイストの妻・游子さん(享年77)、長女、長男の開、二男と家族5人で仲睦まじく暮らしていた。やがて子どもたちが巣立ち、10年4月に游子さんが亡くなってからは、この豪邸で宍戸は一人暮らしだったという。
火災数日後、本誌が火災現場となった自宅を訪ねると、黒のスーツに黒ネクタイの宍戸が偶然、タクシーに乗って現れた。記者が取材を申し出ると、快く承諾。コンクリートの外壁と炭化した柱を残すだけの敷地内に記者を招き入れた。
地面には黒い煤が溜まり、消火活動や前日の雨のせいか、ぬかるんでいる。樹木がうっそうと茂った広い庭には、燃えた家財道具が積まれ、ブルーシートが敷かれている。穴の開いた天井からは、昨夜の雨露が時折、ポタポタと落ち、宍戸の肩を濡らした――。
しばらく本誌記者とともに現場検証していると、背後から宍戸の興奮した声が上がった。
「大事なものがあったよ! 結婚式の写真!」
満面の笑みを浮かべた宍戸が手にしていたのは、赤いアルバムだった。
「今、玄関の先で見つかったんですよ。あれ、こんなところにアルバムっぽいものがあると思って開いたら、結婚式の写真だったんです。このアルバムの存在すら知りませんでした。カミさんが密かにまとめていたんだろうな…。俺はこんなの全く興味なかったから。まさか、こんなアルバムが残っていたとは知らなかったな…」
宍戸は感慨深そうに写真を見つめた――。