ドラマ『半沢直樹』(TBS系)で大ブレイク中の堺雅人(39)。そんな彼に“師匠”がいるという。堺は著書『文・堺雅人』でこう綴っている。

《高校の部活動で芝居をはじめた僕には、俳優としての師匠はいない。当然、だれの系譜もうけついでいないのだが、『伊藤一彦や若山牧水が師匠スジにあたる』なんてことを、あくまで個人的な妄想としてたのしんでいる。すくなくとも伊藤先生には本当におそわっているのだ。先生とよんで慕っていても、バチはあたらないだろう》

高校時代の恩師・若山牧水の研究家で歌人の伊藤一彦さん(69)は、堺が高校1年のときに現代社会を教え、スクールカウンセラーも兼務していた。カウンセラー室と演劇部の部室が近かったため、堺は伊藤さんのもとを頻繁に訪れていたという。

「当時から演技に対する熱意は並外れていていました。彼が初めて演じた役は、幼稚園での『みなしごハッチ』のカベ虫だったそうです。先生からカメ虫をカベ虫と間違えて言われたらしく、図鑑で調べても出ていない。どうやって演じればいいかと5歳にして悩んだという話ですが、本当に彼らしいと思います」

卒業後も2人の交流は続いた。08年の大河ドラマ『篤姫』に出演した際、伊藤さんに相談があった。

「徳川家定役の彼は、僕に『大正天皇の歌集を読みたい』と言ってきました。なぜかと聞くと『家定を演じるのに、同じく病弱だったと伝えられる大正天皇の歌がヒントになるのではと思って』と答えるんです。そんな発想をする役者は他にいませんよ。自分なりに考えて、役作りをする。台本以上にどう味付けするかを常に考えているんですね」

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