膵臓腫瘍のため、東京・新橋演舞場の『九月大歌舞伎』を降板した坂東三津五郎(57)。8月の納涼歌舞伎を千秋楽まで務めあげた三津五郎に自覚症状はなく、「心配してくださるのはありがたいのですが、いたって元気です。なぜ大ごとになるのか、申し訳ない気持ちです」と、語っていたという。
しかし、昨年から明らかに過労気味だったという歌舞伎関係者の声もある。
「昨年末に同い年の中村勘三郎さんが亡くなってから、三津五郎さんに多くの立ち役が回っています。4~6月の歌舞伎座柿落し公演ではぶっ通しで出演を続け、8月にもまた歌舞伎座出演でしたからね……」
8月28日に彼を見舞ったという香川照之(47)は、「『体は元気です』との言葉をいただいていたのですが、入院なさると聞いて、病院に行きました」と話した。
前出の歌舞伎関係者は次のように語る。
「入院にあたって三津五郎さんの身の回りの世話は、2人の娘さんが交代でしています。新橋演舞場に出演中の長男の巳之助さんも、本番の前後に顔を出しているみたいです」
最近になって坂東家の跡継ぎであるという自覚が強くなってきたという巳之助。
「父親の危機に直面して、彼自身、とてつもない恐怖と緊迫感を感じていることと思います」(日舞関係者)
病状はどうなのか。8月30日午後8時、稽古を終えた巳之助を直撃した。 紺のシャツに短パンとラフな格好だ。父親の様子を訊ねたが、口を堅く結んだまま、その場を走り去っていった。 父の快癒の願をかけたのか、巳之助の右腕には真新しいミサンガが巻かれていた――。
またしても梨園に訪れたピンチ。市川猿之助(37)は、「これ以上歌舞伎界から“いなくなる人”が出てほしくない」とエールを送った。
旅好き、ラーメン好きとして知られる三津五郎は、11月に出演予定の巡業公演をとても楽しみにしていたという。再び、舞台上で元気な姿を見せてほしい。