「こんなにガッツリ脱いだのは初めてです。まあ、男ですし、別に“大事な部分”を出したわけじゃないし(笑)、抵抗はなかったです。役者は自分の恥ずかしい部分をさらけ出すことで、見る人の共感を呼んだりする。羞恥心を晒す仕事だと思うので」
そう語るのは、平岡祐太(29)。生来の甘い顔立ちに、完璧な筋肉を這わせたセクシーなカラダ。ストイックな表情で挑んだ本誌『女性自身』のフォトセッションのあと、気持ちを緩ませ笑顔で話す素の姿は、上品で実に爽やか。
彼がこの肉体を手に入れたのは、北野武監督による伝説の映画の“その後”の物語『キッズ・リターン 再会の時』で、ボクサー役を演じるためだ。
「もともと、あまり男臭い部分はない性格ですが、ボクシングを始めてから、ちょっと変わりました。闘争心みたいなものが生まれて……たとえば怖い人に絡まれても、今はあんまり怖くないというか。単純なことですが、物事に動じなくなったし、自信は確実につきましたね。すこし横暴になったかもしれないけど(笑)」
肉体改造に費やしたのは3カ月。週5日のボクシングに週2日の筋トレ、そして徹底した食事制限を行った。
「でも、最初の1カ月はトレーニングだけで食事制限をしていなかったら、体が全然変わらなくて。トレーナーも関係者の方々もちょっと怒っていて『このままじゃヤバい』と! そこで大好きなお酒を断ち、現場にも自作の弁当持参で、本気でやりました」
そのかいあって体脂肪率は8%まで落ち、心身ともにボクサーに変貌。見事な肉体で演じた試合のシーンは、ある意味で実際のボクシング中継よりリアルに、見る者を圧倒する。
「初めてこの映画の話を聞いたのは、本屋さんにいたとき。マネージャーにこの映画を『やるかもよ』と言われたんです。でも『あの“キッズ・リターン”に? 続編なんてあるわけない』と信じられなくて。その後2カ月間も、半信半疑のままでした(笑)。ようやく実感したのは、顔合わせをしてからです」
撮影中は本当に辛く、自分だけ別の世界にいるような気持ちだったという平岡。
「その分というか、クランプアップの日は、いつもの仲間のいる飲み屋に直行。『終わった~!』と、断っていたお酒を飲み、いちばん食べたかったコテコテの豚骨ラーメンも食べて。でも、3カ月ってすごいですね。ビールもラーメンも、その味を忘れていたんですよ。久々のラーメンは、知らないものを初めて食べる感じというか……初めてのキスをしたときみたいでしたよ(笑)」