バラエティ番組『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)で、ママチャリに乗って激走しては株主優待券を使いまくる。そんな姿に話題沸騰となっているのが、“株主優待王”としてブレイクした桐谷広人さん(64)。もともと将棋の元プロ棋士で、七段まで昇った人物だ。

おととし亡くなるまで“棋界のドン”であり続けた日本将棋連盟元会長の故・米長邦雄永世棋聖(享年69)。艶福家としても知られた人物で、桐谷さんは駆け出し時代から米長氏を慕い、“子分”のように献身的に尽くしていた。

81年、桐谷さんは故郷・広島でクラブホステスのA子さんと知り合う。2年後に彼女にプロポーズした桐谷さんは、幸せの絶頂にあった。上京したA子さんと、仲良く新居の物件探しをした桐谷さん。このとき、A子さんを米長氏に引き合わせたことで、のちに桐谷さんは取り返しのつかない後悔に苛まれる。

「朝、米長さんから電話で『昼飯を食べに連れて来い』と。それで彼女を連れて3人で昼食を食べたんです。私は、米長さんが私の婚約者に会ってくれたことに感激していました」

 だが2カ月後、桐谷さんは突然、広島に帰った彼女から電話で「結婚はやめます」と別れを切りだされる。納得できない桐谷さんは、何度かA子さんに連絡を取ったものの、彼女の気持ちは変わらず、2人は会うこともなくなった。残酷すぎる“真実”を知ったのは5年後のこと。久しぶりに広島でA子さんと会えることになったのだ。

「その時点でも、私は彼女のことを諦めきれず、あらためて結婚を迫ったんです。すると、A子さんから『私は米長さんの愛人になったから、桐谷さんとは結婚できません』と言われ、私は自分の耳を疑いました。私が知らぬ間にA子さんが上京して、米長さんと密会していたこともあったそうです」

 桐谷さんはあまりの衝撃に、打ちのめされたという。桐谷氏は、長年仕えた米長氏に反旗を翻したが、待っていたのは将棋連盟内部での“いじめ”だった。

「仕事を与えられず、将棋連盟から毎月100万円はあった給料もゼロになりました。告発以後、朝から晩まで嫌がらせ電話もありました」

 仕事を干された桐谷さんは07年に棋士を引退。失恋を機に始めた株投資が、今のブレイクに繋がることに。どこか達観した桐谷さんの人格の背後には、波瀾万丈な人生があった。

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