東海道新幹線が開業し、アジア初となる東京オリンピックが開かれた1964年ーー。この高度成長期の真っただ中に産声を上げたTBSラジオ『全国こども電話相談室』が、今年7月に50周年を迎えた。
親には言えない悩みだからこそ、それは純粋で時には深刻だった。回答者は一緒に悩みながら考えた。大人と子供の真剣勝負。真摯に答えるその姿勢から、子供たちは人生について学んだのではないだろうか。
子供たちの天真爛漫な疑問や味わい深い質問。そんな『全国こども電話相談室』50年の歴史の中から、回答者が困った質問を年代別に紹介。
【’60〜’70年代】
「おかあさんのオッパイは赤ちゃんを育てるためにあるんでしょ。じゃあ、お父さんのオッパイはなんのためにあるの」(小学校低学年・男子)
「わたし年をとりたくないの。年とって死ぬのがこわいの。死なないようにするにはどうしたらいいのですか?」(小1・女子)
「男と女がいなければ子供は生まれないとききましたが、なぜ未婚の母がいるのですか?(小6・女子)
「どうして、私の家にはサンタクロースが来ないのでしょうか?(小2・女子)
【’80〜’90年代】
「シマウマは黒に白のしましまですか?白に黒のしましまですか?」(小2・男子)
「大学イモは、どうして『大学』ってつくの?」(中2・男子)
「どうして人は恋をするのですか?」(中3・女子)
「今真剣に悩んでいて、彼女ができないんです……。どうしたらよいですか?」(中1・男子)
【’00〜’10年代】
「母親が浮気して、家のなかがつらい」(中1・男子)
「私は学校でいじめられています。家にも私の居場所はありません。母は『勉強やれ』とか、『あんたはお姉ちゃんよりバカだ』って、いつも言っていて、正直ストレスがたまっています。正直こんな自分が嫌です」(中2・女子)
「中学1年生の終わりごろからずっと好きな子がいます。その人は女子ですが、その人に彼氏ができてしまうかもしれないと思うと、不安で悔しくて、涙が出ます。私はこれからどうしたらいいのでしょう」(中3・女子)
『全国こども電話相談室』は、少しずつ変化をしながらも、ひたすら子供たちの声に耳を傾けて、答えを見つける手助けを続けてきた。番組の「顔」として33年間、回答者を務めた無着成恭先生(87)は次のように語る。
「子供の疑問や悩みには『答える』のではなく『応える』ことが大事。そして、疑問をもつことや質問すること自体が素晴らしいと子供に感じてもらえることが、とても大切なことです。『そんな下らないこと考えていないで勉強しなさい』と思うこともあるでしょうが、その気持ちを少し抑えて、疑問をもった子供と一緒に悩んでみてください。そこから学ぶことは多いはず」