「いえいえ。サポートと言えるほどのことなんて何もしていないんですよ」
そう語るのは、錦織圭選手(24)の婚約者・坪井保菜美さん(25)の母。全米オープンテニス決勝戦の直後、岐阜県内の自宅から出てきた母は控えめに娘を振り返った。だが、錦織は優勝こそ逃したものの、4大大会男子シングルス日本人初の決勝進出を果たした。その快挙の陰に彼女の献身的な支えがあったことは、多くの人が認めている。
「彼女は栄養士の勉強をしていると言っていました。とても優しくて性格がよく、笑顔の素敵な女性でした」と語るのは、大手プロダクション関係者。もともと新体操団体競技の元日本代表選手だった坪井さんは、北京五輪後の10年に現役引退。だがその後、ひそかに“第二の夢”に向かって歩き始めていたという。
「12年ごろのことでした。『芸能界で仕事をしたがっている人がいる』と坪井さんを紹介されたんです。彼女は進路で悩んでいるようでした。これまで新体操一筋でやってきたそうですからね。少しでもキャリアを活かせると思ったのか、『スポーツの経験を活かしたタレントになりたい』とも言っていました。宣材写真を撮りましたが、慣れないせいかポーズは固かったのを覚えています」
だが、芸能界は生半可な決意では生き残れない。このプロダクション関係者は、坪井さんにこう伝えた。
「私は、はっきりと『あなたは芸能界には入らないほうがいい。裏でサポートをするほうが向いている』と忠告しました。でも、それでも彼女は諦めませんでした。トークのレッスンを受けるなど、必死に努力を重ねていました」
このとき、すでに錦織との交際はスタートしていた。世界一に向けて試合に臨むカレと一緒に、彼女もデビューに向けて奮闘していたのだ。
そんな坪井さんだが、1年経たずに夢を諦めて芸能界を去り、カレを支える道を選ぶことに。実はこのころ、錦織の母方の祖父が急逝。さらに、父方の祖父までも病に倒れていたという。彼女の決意の陰には、こうした度重なる不幸も影響していたのかもしれない。
試合での応援はもちろんのこと、練習中でも健気に付き添う姿が目撃されている坪井さん。今大会でも、彼女は“チーム圭”の中心となって動き回っていた――。