「テレビはテレビなりの生き方でちゃんと残ると思うんです。これから先、インターネットに負けるかもしれないけど、それはまた新しく出てくる何かに負けるものなんですよ」
そう語るのは、隔週連載『中山秀征の語り合いたい人』のゲスト、俳優・石坂浩二さん(74)。テレビ黎明期を知る石坂浩二が、今後の「テレビ」のあり方について語ってくれました。
中山「石坂さんというと、役者の顔もありながら、テレビでの司会やクイズ番組に出演したときの博識なイメージもありますね」
石坂「司会はそれほどやっていないです。『スター千一夜』(フジテレビ系・’59〜’81年)で腕を磨かせてもらいました。ゲストの人たちのやりとりも、なるべく長くつながなきゃいけない。たとえば、力士の方だと『ごっつあんです!』で終わってしまうけれど、誰に何を聞くのか、どんな話題をどう広げて掘り下げるのかなど、かなり勉強させてもらいました。そのあとは『ズバリ! 当てましょう』(フジテレビ系・’61〜’72年、’75〜’82年)くらいかな」
中山「大橋巨泉さんの『11PM』(日本テレビ系・’65〜’90年)にも出演されていましたよね。あの番組、面白かったですよね〜」
石坂「巨泉さんは将棋や釣り、ボウリングなど、自分の夢中になっていることをやったり話したりしていました。オープニングトークがくわえタバコで登場、銀座のバーで飲みながら収録など、今なら大騒ぎになることも、当時は違和感がなかったですから」
中山「昔はテレビに出ている人たちしかできない破天荒なことが面白かったし、夢や憧れを持てましたが、’00年前後から規則やコンプライアンスがうるさくなりました。長年テレビに出ていらっしゃる石坂さんは、この変遷をどう思われますか?」
石坂「誰がどこで始めたのかわからない縛りをみんなが採用している節がありますよね」
中山「(テレビにとって)大事なことは何でしょう?」
石坂「どんな媒体でも、そのなかに映っている感動は変わっていないはずです。映画も映画館で見ないと味わえない感動があるじゃないですか。テレビ局は番組を作らないただのキーステーションになってしまうという考えもありますが、放送されるものは残るわけだから、今投げ出してしまう必要はない。『やっぱりこれはテレビで見ないとなぁ』って、今から20年後くらいに言ってもらいたいじゃないですか。中身が大事ですよ」