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「今年は例年に比べて、大きな事件や騒動、そして政治問題も含めた出来事が特に多かったような気がします。走馬灯のように次々と思い出せますから。こんな年って、そうないと思いますよ」

 

そう語るのは、美輪明宏さん(80)。人質事件に始まり、新国立競技場&エンブレム問題、五郎丸フィーバーなど、まさに国民が一喜一憂した2015年。美輪さんの目にはどう映ったのか? 2015年の上半期を美輪さんが振り返る。

 

【1月】『イスラム国』日本人人質事件

「イスラム国」は、拘束した日本人2人の身代金として2億ドル(約240億円)を日本政府に要求も、その後湯川遥菜さんとジャーナリストの後藤健二さんを殺害したとされる。

 

「安倍首相が、訪問先のエジプトで『ISIL(イスラム国)と戦う、周辺各国を支援する』と演説しましたね。あのニュースを見た瞬間、“これは日本人もやられるな”と思いました。あの発言の数日後に、日本人2人が殺害されたと報道されました。悪い予感が現実のものとなってしまいました。安倍首相は不用意な発言が多い。そして言葉数が多いわりに中身がない。一国の首相というのは国を代表しているわけだから、よほど注意してもらわないと国民が困ります」

 

【2月】川崎市中1男子生徒殺害事件

20日、多摩川河川敷で13歳の中学1年生が殺害され、遺体が遺棄された事件。事件から1週間後、以前から暴行を加えていた18歳の主犯格の少年ら3人が逮捕された。

 

「いつもこういう事件が起きるたびに思うのは、学校側は知らぬ存ぜぬ、と逃げようとすることです。自分の保身のことしか考えていないような連中が、教育委員会や学校の先生に多すぎる、卑怯千万です。そして未成年だという理由で、メディアはいじめた側の名前も顔も出さない。亡くなった生徒は、名前と顔写真、家族構成からプライバシーまで明かされる。どっちが被害者なのか?こんなバカな国がありますか?本当に頭にきます」

 

【3月】北陸新幹線開通!

3月14日、日本海側を初めて走る新幹線が開通。観光客が殺到する人気ぶり。

 

「金沢の人は京都にライバル心がありますけど、その意識が減ってくるかもしれませんね。これまで着物の友禅にしても、京友禅と加賀友禅が張り合っていたんです。それから焼き物や茶道、芸妓衆(げいこし)もそうでした。東京⇔京都の時間と同じになったことで、今度は対等に勝負することができるのでは」

 

【4月】佳子さまICU入学で大フィーバー

秋篠宮家の次女・佳子さまが、学習院大学を中退され、国際基督教大学(ICU、東京都三鷹市)に入学。国民的人気を誇る佳子さまだけに、その新キャンパスライフに日本中の“目”が注目した。

 

「英国の王室のように、ダイアナ元妃やキャサリン妃などが、欧米でずっと話題になっているのと同じことがあってもいいと思います。佳子さまは容姿容貌も美しくいらっしゃるし、品がよくて、反感を持たれるような要素がどこにもありませんね」

 

【5月】『大阪都構想』住民投票で橋下市長敗北

大阪府と大阪市、堺市の政令指定都市を廃止し、新たに“大阪都”を設置する構想の是非を問う住民投票が大阪市で行われた。その結果、反対票が僅差で上回り、橋下徹市長は政界引退を表明。

 

「大阪都構想以前の問題です。そもそも“維新の会というのは何なのだ?”って話です。初めから終わりまで内輪もめばっかりではないですか。橋下さんは大阪市を解体して、東京都と肩を並べたいんでしょうが、大阪の人は東京のまねをするのは大嫌い。それが住民投票で明らかになったわけです」

 

【6月】選挙権を満18歳以上に引き下げる『改正公職選挙法』成立

選挙権年齢を原稿の“満20歳以上”から“満18歳以上”に引き下げる法律が成立。来年夏の参院選から適用される見通しで、18〜19歳の約240万人が新たに有権者に加わることになる。

 

「特に自民党あたりは“子どもならうまくだませる”とでも思ったんでしょうね。でもこれは、“薮をつついて蛇を出した”ことになりますよ。今年は国会の前だけでなく、全国各地で『安保法案反対』のデモが起きました。学生を中心に若い人たちがたくさん集まり、それまであまり政治に関心のなかった若いママさんたちも目覚めた。若くてもしっかりしている人はたくさん出てきているんです」

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