「志田周子さんを知らない方は多いと思いますが、ふるさとの医療のために生涯をささげた、こんなに素晴らしい女性がいたことを一人でも多くの方に知ってほしいですね」
昭和初期、陸の孤島と呼ばれ無医村だった山形県・大井沢村(現西川町)で地域医療に尽力した志田周子。今回、平山あや(31)は、映画『いしゃ先生』(ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開中)で実在した女医を演じた。
「志田先生は当時まだ26歳と若く、しかも女医ですから最初は村人たちに受け入れてもらえなかったそうです。悲しく悔しい思いをしながらも決して諦めずに、すべてを捨てて村に残った。その覚悟が素晴らしいと思います」
1962年に亡くなるまで、たった一人で村民を支え続けた。山形県民なら知らぬ人のいないという実在の人物を演じるには苦労があったのでは?
「まず女医さんの役は初めてでしたし、現代の医師ではなく、昭和初期の時代に生きた方。昔の医療器具の使い方も覚えなくてはならない。不安は大きかったです。実在した方なので、弟さんもご存命ですし、80代くらいの方の中には実際に診察してもらった方もいらっしゃる。山形県を代表するくらい有名な方なので、すごく緊張しました」
しかし、プレッシャーは吹き飛んだ。
「ロケ中に白衣を着て歩いていると、お年寄りの方たちが何人も声をかけくださるんです!『先生の映画を作ってくれてありがとう』『先生はどんなに小さなけがでも一生懸命に治してくれたんだよ』って。『先生にそっくりだ』と涙ぐむ方もいらして……。本当に村の人たちに愛されて、この地で生き抜いた方なんだなって感動しました。それにたくさんの山形県民の方たちがエキストラになってくださり、皆さん全面的に協力してくれたんです。現場でも毎日、町のお母さんたちがご飯を作って差し入れしてくれるんです。控室のキッチンでも毎日ご飯を作ってくれて。ありがたかったですね。山形名物の芋煮とか、山形米で作ったおにぎりとか、毎日食事が楽しみでした(笑)」
先行上映会は、山形県内各地で開催。
「満席で、皆さん感動して泣いてくださって、激励のお手紙も頂きました。皆さんから感動の言葉をたくさん頂いて、素敵なご褒美を頂いたような気分です。山形県が大好きになりました。今や私にとって第二の故郷です」