「27年も前に出版した本が、朝ドラとしてよみがえるなんて!長生きしてみるものですね」」
NHK連続テレビ小説『あさが来た』の原案本『小説土佐堀川』(潮出版社)の著者・古川智映子さんは、ドラマがスタートする直前に行った本誌取材で、開口一番、こう答えていた。
古川さんと広岡浅子との“出会い”は、まったくの偶然。婦人サークルで講演をするネタ探しのため、分厚い『大日本女性人名辞書』をパラパラとめくっていると、たった14行の浅子に関する記述が目に入ったのだ。
「心を奪われたのは、《ピストル》という文字。昔の炭坑ですから荒くれ者もいたでしょう。それでも護身用のピストルを片手に彼らを取り仕切っていたわけです。すごい女傑です」(古川さん・以下同)
当時、古川さんは、離婚を経験し、住宅ローンを1人で返済。“私の人生はついていない”と思うことが多かったというが、浅子の強い生き方を知るたびに勇気をもらった。
「浅子の座右の銘は、『九転十起』です。七転び八起きよりも2回も多いなんて、すごいでしょう」
5年以上の取材を続け、56歳のときに出版した原案本は、57万部突破のベストセラーに成長。今も多くの女性を勇気づけている。