「美和にとって最初のシーンは、新次郎さん(玉木宏)と紅葉狩りのときに三味線を弾くというロケでした。撮影が始まる2〜3カ月ほど前からお稽古をしていたのですが、本番は緊張して冷や汗だらだらでした」
こう語るのは、NHK連続テレビ小説『あさが来た』で主人公たちが集うレストラン「晴花亭」の女主人・美和役の野々すみ花(29)。出会いと別れが繰り返されるドラマの中で、全編にわたって“ええ男”に囲まれて登場し続けた美和。その目は彼らの一部始終を見ていた。
「宝塚音楽学校時代に、三味線、お琴、ピアノから1つ選んで楽器を習う授業があったのですが、私はそのときピアノを選択。“あ〜三味線やっときゃよかった”って、今さらながらに後悔しました。反対にお弟子さん役の玉木さんのほうは、三味線は未経験だったようですが、もともとギターを弾いていらっしゃったので、すごく上手で」
野々は、初共演の玉木に対して、最初は“クールで近づき難いオーラ”を感じて、つい構えてしまっていたという。
「玉木さんは、私の中では『のだめカンタービレ』の千秋先輩でしたが、実際にお会いすると、『あさが来た』の新次郎さんそのままのお方でした。休憩中など、気さくに話しかけてくださいましたし、私が、“この動きどうしよう”と悩んでいたりすると、玉木さんが先回りしてさりげなくアドバイスしてくださったり、監督に相談を持ちかけてくださったことも」
イケメンの双璧、五代さま(ディーン・フジオカ)もレストランの常連だ。
「五代さまとのシーンで印象に残っているのは、1人で商法会議所に行って『お店を開きたい』と相談する場面。美和が人生を切り開く瞬間です。そのときお土産を『ささやかですが』と差し上げたら、五代さまが大きな声で身振りを入れて『おお〜!』って喜んでくださる。その純粋で真っすぐな部分、誰でも大きく包み込んでくれるようなイメージの五代さまは、ディーン・フジオカさんご本人とリンクしていると思いました」