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「祖父が大金持ちで、父には外国の血が半分入っていて。父の時代は庭に西洋料理のコックさんや、日本料理の夫婦がいるような世界で、おいしい料理を当たり前に食べていたの。だから結婚した母は、おいしいものを作らないといけないって大変だったと思う。私もその中で育っているから、確かな舌を持ったんじゃないかしら。私は親から、いい舌をそのまま譲り受けてきたと思うから、これを息子たちに引き継いでいってもらいたいなって」

 

そう語るのは、隔週連載『中山秀征の語り合いたい人』第59回のゲスト・料理愛好家の平野レミさん。何度もテレビで共演しているという2人の対談は終始にぎやかでした。

 

中山「長男の和田唱さんはトライセラトップスのボーカルをやられて。弟さんは5年前に結婚。2人の男の子を育てられましたがどんな子育てを?」

 

平野「同じように育てたのに、タイプが全然違う。長男のほうは遠足になるとその日になって『水筒がない』って泣くの。次男は1週間前から水筒に麦茶入れちゃう感じで」

 

中山「母として道を示したりは?」

 

平野「いつも言ってるんだけど、高速道路で何の障害のないつるつるの道を1等賞でゴールするのも人生かもわからない。または下の道で、舗装がされてなくて田んぼに落っこちたりしながらゆっくり人生が終わることもあると思うけど、どっちがいいかなんてわからないじゃない。だから私は勝手にやれと思って何も言わなかった。だた、ご飯だけは一生懸命作ってたわね」

 

中山「お父さん、和田誠さんはどうでしたか?」

 

平野「和田さんは子供が小さいときに『お父さん、ベートーベンってどういう曲作るの?』なんて聞いたら、黙って日曜日に朝からベートーベンをかけたり。『トンネルをくぐると雪国だった』という小説のフレーズについて聞かれたら、実際に連れて行ったり。子供たちのことをかわいがってたけど、『勉強しろ』とかは言わなかった」

 

中山「料理に関しても言わないですか」

 

平野「言わない。『おいしいね』って言ってくれて、『ちょっとコクがたりないかな』とか言い方がうまかった。すると、次はこうしてみようかなって思うでしょ。和田さんが私を持ち上げるのがうまいから、上手になっていったのかもしれない。子供だって、『あんたはバカだ』って言われ続けたらバカになっちゃうよね。だから『あなたはいい子だ』って言い続けたらいいと思う」

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