鈴木亮平(34)が主演し、西郷吉之助(隆盛)の生涯を描く大河ドラマ『西郷どん』(NHK・日曜夜8時~)。1月7日に放送された初回は、西郷隆盛の没後、東京の上野公園にて、西郷隆盛像の除幕式を行うシーンから始まった。そのとき、銅像を見た西郷の3番目の妻・糸(黒木華)の口から、《……ちごっ……ちごっ……旦那さぁはこげなお人じゃぁあいもはん!》という“薩摩ことば”が飛び出した。
このセリフは「違う、違う、旦那さんはこんな人ではありません」という意味。見ていた人ならば、なんとな~くニュアンスがつかめたはず。しかし、独特な方言が飛び交う内容に、放送直後「薩摩ことばが難しすぎる!」「テロップ必須」とネット上で話題となった。
今回、鈴木亮平をはじめ、出演者たちに薩摩ことばの方言指導を行っているのは、鹿児島県出身の2人の俳優、迫田孝也さん(40)と田上晃吉さん(35)だ。現場では、役ごとに薩摩弁を録音し指導しているという迫田さんと田上さん。そんな2人が、“薩摩ことば”を意欲的に学ぶ『西郷どん』出演者たちの現場エピソードを教えてくれた。
■現場での挨拶はすっかり「もす!」に
薩摩ことばでの語尾としてよく使われるのは「~もす」という言葉。
「ドラマでも、『~もす』がよく出てきます。『~もす』は、“です・ます”のこと。これをもとに『もすか?(ますか?)』や『もはん(ません)』と活用していきます。現場でも、『おはようございもす』という挨拶がはやったのですが、ある日から『もす!』だけに略されて……。今ではみんな挨拶を『もす!』だけで済ませています(笑)」(迫田さん)
■鈴木亮平が好きな“薩摩ことば”は……
ドラマの撮影がはじまる前、鹿児島を一人旅したという鈴木。そのとき、赤山靱負役として出演し、自身も鹿児島出身である沢村一樹が、鈴木や地元の友達を交え“薩摩ことば限定”で飲み会を開いたそうだ。
「そこで鈴木さんは『おかしもぜ』という言葉を気に入ったそうです。これは、『美人じゃないけれどかわいい人』、という意味。僕の育った地域では『おかしむぜ』と言ってました。鹿児島では地域により言葉が違うので、それを迫田先輩と2人ですり合わせてから皆さんに指導しています」(田上さん)
■黒木華のカワイイ語尾に注目!
「薩摩ことばを完璧にマスターしたい」と、やる気を見せる黒木華。「本当にかわいらしい響き」とお気に入りなのが「~んにゃも」の語尾だ。
「これは、“あらまあ”というようなあいづちです。黒木さんの『~んにゃも』は、地元の僕たちが聞いていても、『ソレソレ!』と、昔の懐かしさと柔らかさと、何より聞き心地がいいんです」と迫田さん。田上さんもこう続ける。
「黒木さんでいうと、もう1つ、「んにゃにゃ……」もよく出てきます。これは“うわ~”というような感嘆の言葉。かわいい言い回しですよね」
■アドリブを見せた北川景子
薩摩・島津の家に生まれ、のちに篤姫となる於一を演じる北川景子も勉強熱心だ。
「何度も『方言指導の時間を作ってください』と、稽古をしてくれました」(田上さん)
迫田さんも、北川の演技を絶賛する。
「指導の成果もあり、芝居のカットがかかるギリギリまで、薩摩ことばのアドリブをひねりだしてくれています。どんな言葉かはまだ明かせませんが……『お~すごい!』と、うれしくて僕ら2人で拍手しました。北川さんは於一のときと、姫になってからの薩摩ことばが違うので、ぜひ耳を傾けてみてください」