「今日も孫のところに行ってきます。彼女がアメリカンスクールから帰ってくる時間に間に合うようにね……」
連日、片道2時間をかけて孫に会いに行く日が続いているためだろう。有賀洋さん(84)の表情や声からは、疲労感がにじみ出ていた。
洋さんは1月30日に急逝した元フジテレビアナウンサー・有賀さつきさん(享年52)の実父であり、彼女が残した一人娘・A子さん(15)の面倒を見ているのだ。
いま洋さんの心を占めるのは、孫の将来。成人するまでのあと5年間を自分が見届けることができるかという不安もある。今後について、有賀さんの元夫でありA子さんの実父である元フジテレビ解説委員の和田圭さん(65)と話し合いたいと以前、本誌に語っていた。
「話し合いがどうなったか?う〜ん……、何と言えばいえばいいのかねぇ」
洋さん、A子さん、そして和田さんの“三者会談”がようやく実現したのは、有賀さんが亡くなってから12日後のことだったという。
’06年に離婚して以来、有賀さんは和田さんとは会っておらず、A子さんも小学校入学以来、父と顔を合わせていなかった。8年ぶりの父娘再会……、だがそれは洋さんが想像していたものとは違っていたようだ。洋さんの口調は重かった。
「A子にとって2人きりで暮らしていた母を失ったのは、私が想像する以上のショックだったと思います。そんな彼女を和田さんが抱きしめて慰めてくれると思ったのですが……。和田さんは私に対してもA子に対しても、とても遠慮していました。月々の養育費は払い続けていたそうですし、いくら疎遠だったとしてもあんなに他人行儀になることもないと思うのですが」
和田さんも心の整理がついていなかったのだろうか、それとも久しぶりに会う娘に拒否されることを怖れていたのだろうか。凍りついたような表情を崩すことはなかったという。
「私はさつきとA子が暮らしていた家を一度訪ねてみるよう、和田さんに言ってみたのです。でも彼は『A子は、こんな私を家にあげてくれるものでしょうか』と言うばかりでした。たしかにA子の意志も尊重すべきでしょうが、まず和田さんが父親として『お前は私が守る!』という姿勢を見せないことには、A子としても何も決められないと思います」
そして洋さんは最後にこう語った。
「……でも、いまは携帯で連絡を取り合えますからね。今後は和田さんがA子と一緒に暮らすのか?それとも私が面倒を見るのか?それを親子2人で話し合って結論を出してくれるまで、私は自分の家とさつきの家を行ったり来たりする生活を続けていくことになります。天国のさつきも、こんな状況を心配していることでしょう」
話し終えて歩み去る洋さんの背中は心なしか小さく見えたーー。