「人気の要因?じつは僕にもよくわからない(笑)。ただ1つだけ言えることは、“わかりやすさ”じゃないかな。5人のキャラクター設定から、ストーリー展開の面白さ。ルパンは泥棒で、毎回いろんなテクニックを使いながらお宝を狙う。そして最後にどんでん返しを見せたり、起承転結が利いているので飽きない。それが50年も愛され続ける理由なのかもしれませんね」
こう語るのは、5月で80歳の傘寿を迎える『ルパン三世』の原作者、モンキー・パンチ先生。ルパン、次元、五右ェ門、不二子、そして銭形……。この愛すべきキャラクターたちの生みの親である先生にとって『ルパン三世』は、どのような存在なのか?
「それは簡単。“遊び道具”です(笑)。“遊び友達”じゃなくて“遊び道具”。『ルパン三世』と遊べるのは、僕しかいないから。好き勝手に設定もできるし、いろんな冒険もさせられる。どんなことでもできるというか……。僕の“おもちゃ”ですかね(笑)」
’67年に漫画『ルパン三世』の連載が始まってから50年。’71年から始まったテレビアニメシリーズをきっかけに、ジワジワとルパンの知名度は全国へと広がり、’77年からのテレビ第2シリーズで、その人気は不動のものとなる。さらに劇場用映画や、’89年からはほぼ毎年のようにテレビスペシャルが放送されるなど、ルパンは今や誰もが認める“国民的ヒーロー”である。
「これまで時代時代のアニメクリエーターたちが、新しい発想で、さまざまな『ルパン三世』を作ってきました。その感性が見る側のサイクルにもピッタリ合った、そんな気がします。たとえば、宮崎駿さんの『ルパン三世 カリオストロの城』(’79年)には、宮崎流のルパンがいる。つまり監督さんによって、その人らしいルパンが作られる。これがファンにとって共感できるところじゃないかと思いますね」
誕生から50年目となる今年、はたしてルパンが狙う新たなお宝は何だろうか?
「う〜ん、難しいね。たぶん財宝とかではないでしょう。意外と小さなものかもしれないなぁ〜。それもごく普通に手に入るものとか……。この殺伐とした世の中で、ルパンは一石を投じるというか、人間にとって大事な何かを見つけ出すんじゃないかな。それは一輪の花かも。崖の上にそっと咲いている一輪の花。その花を見れば誰もが癒される。ルパンはその花を摘むのではなく、摘もうとするやつが来たらそれを止める。盗みに行くのではなく、守る。そんな感じがするな〜(笑)」