「上川隆也さんは素敵な俳優さんだなと思っていたので、今回の共演がうれしいです。私は(劇中で)車いすに乗っていることが多く、執事の上川さんはいつも後ろにいてお顔があまり見られないの。ときどき前にいらして、お顔を見ると、『やっぱりステキだわ』と思いますね」
はにかむようにほほ笑むのは、八千草薫さん(87)。4月13日にスタートした金曜8時のドラマ『執事 西園寺の名推理』(テレビ東京系)で、上川隆也演じる執事の西園寺がお仕えする、優雅で上品な“奥様”の伊集院百合子を演じている。
ドラマの会見では、初共演となる主演の上川が、「“奥様”の八千草さんのかわいらしさをぜひ見てほしい」と、八千草さんの愛らしさを絶賛。
共演者だけではない。日本を代表する女優の吉永小百合さんも本誌3月27日号で、その魅力についてこう語っている。
《昨年暮れに、笑福亭鶴瓶さんの落語会で、八千草薫さんにお会いしたんですよ。20代のころに姉妹役で共演して以来です。50年近くたっても、ぜんぜん雰囲気が変わらなくて、かわいい。現役で映画に出ていらっしゃる。ああ、こんなふうに年齢を重ねていけたらどんなにいいかしら、って思いました》
吉永小百合さんの言葉を伝えると、こんな感想がーー。
「そうなの。久しぶりに吉永さんにお会いしてね。(吉永さんも)変わってらっしゃらなくてびっくり。とても懐かしかったです。鶴瓶さんの楽屋まで行くときに、階段の段差があるからと、手をつないでくださってね。そのまま楽屋でも手をつないでいたのはうれしかったわ」
今回本誌では、女優として輝き続ける八千草薫さんに、変わらない美と健康の秘訣を語ってもらった。
八千草薫さんは’31年生まれ。戦後、宝塚音楽学校に入学。宝塚歌劇団の清楚で可憐な娘役として大人気となり、映画界にも進出。昨年、女優デビュー70年を迎えた、日本が誇る大女優だ。
’07年に、50年連れ添ったご主人(映画監督・谷口千吉さん)を見送ってからは、一人暮らし。しかし、帰宅すると、毎日で迎えてくれる相棒がいるという。愛犬のヴェルディと、猫のフィオリだ。
「ヴェルディは、イタリア語で『緑』、フィオリは、『花』という意味です。だからうちには花と緑がいるんです。犬と猫だけど仲よく、私のことを玄関で待ってくれています。それだけで、とても幸せな気持ちになれます」
フィオリは、6年ほど前、近所の公園にいた野良の子猫だった。
「かわいそうだから連れてきて避妊手術をして手放すつもりでしたが、愛情が湧いて放せなくなりました。猫もかわいらしいわね。まるで人間のように、何でもわかっている気がします。ヴェルディは、先代の犬が亡くなり、飼うことになったシェットランド・シープドッグ。おおらかな子です」
愛犬ヴェルディと出かける朝の散歩は、八千草さんの健康の源になっている。
「歴代の愛犬との散歩を長年の習慣でずっと続けています。朝の散歩は気持ちいいですからね。犬は瞬発力も強く、走り出すと大変なので、今は、ドッグトレーナーさんに散歩をお願いしています。私は、その後ろからついて歩いているの(笑)」
早朝6時30分ごろから1時間ほどかけてのお散歩だ。
「近所の人にも、『おはようございます』と、こちらから話しかけます。最初はびっくりされますが、いつのまにか、お互いに挨拶をするようになっていくのがうれしいんです。せりふを覚えるのも、公園で周りに人がいないなと思うと、けっこう大きな声を出しているんです。見られているかもしれないわね(笑)」
人との交流も楽しみ、季節の移り変わりを感じながら歩くのが大好きだという。
「冬は、少し遅くて7時30分ごろスタートですが、冷たい空気が頬に触れるのがすがすがしくて気持ちいい」
四季折々の風景や情緒を愛でる心を大切にすることが、心身を癒し、八千草さんのすがすがしい美しさに磨きをかけているのだろう。