4月13日にスタートした金曜8時のドラマ『執事 西園寺の名推理』(テレビ東京系)で、上川隆也演じる執事の西園寺がお仕えする、優雅で上品な“奥様”の伊集院百合子を演じている八千草薫さん(87)。
ドラマの会見では、初共演となる主演の上川が、「“奥様”の八千草さんのかわいらしさをぜひ見てほしい」と、八千草さんの愛らしさを絶賛。今回本誌では、女優として輝き続ける八千草薫さんに、変わらない美と健康の秘訣を語ってもらった。
八千草薫さんは’31年生まれ。戦後、宝塚音楽学校に入学。宝塚歌劇団の清楚で可憐な娘役として大人気となり、映画界にも進出。昨年、女優デビュー70年を迎えた、日本が誇る大女優だ。
至近距離で見ても、八千草さんの肌はつやつやで透明感があることに驚かされる。そのケア方法を聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
「昔から美容には無頓着です。ずっと使っている化粧水と乳液だけ。いろいろつけすぎるのはお肌によくない気がします。毛穴も詰まってしまうでしょう。ですから私は寝る前には固形せっけんで洗顔して眠ります。それだけだと乾燥するともいわれますが、なるべくつけすぎないほうがいいと思います。お化粧もファンデーションはつけずにBBクリームだけ」
食事には好き嫌いなく、1日3食、何でもいただく。
「嫌いなものがないんです。お肉もお魚も大好き。でもお野菜は、煮物にしたり炒めたりと温野菜をとっています。3食食べていますが、本当は5回ぐらいに分けて食べるといいといいますよね」
87歳の今も女優として忙しい日々を送るため、毎日運動も欠かさない。
「トレーナーさんに、筋肉トレーニングの運動を考えていただいて。腕や肩を回したり。肩が凝ったと思って少し動かすと、あくる日はぜんぜん大丈夫です。片足立ち、つま先立ちなどの体操も眠る前、15分ほどの習慣にしています。血の巡りもよくなり、ぐっすり眠れます」
若々しさを失わない理由は、“心の持ちよう”にもあると、八千草さんは語る。
「女学校時代の素敵な先輩にお会いしたんですが、その先輩から、『少女の心を忘れないでね』と言われたのです。少女時代はいろいろなことに感動し、前に向かい進んでいく、みずみずしい気持ちを持った時代。若いころの素直で柔らかな気持ちを思い出し、持ち続けるのは、とても大事なことだなと思っています」
それから八千草さんも、日々、感動を味わうことも忘れないようにしているという。繊細な少女の心を持ちながら「ちょっと無理をすること」が、最近のテーマだ。
「私がうんと無理をすると、周りに迷惑をかけてしまいます。数年前から何をするにも『気をつけてください』と言われるようになりました。でもそのとおりにしていたら、つまんないなって。ちょっと無理をしないと、生きている実感も得られませんでしょ」
そう言うと、いたずらっぽく笑みを浮かべた八千草さん。「どんなふうにちょっと無理をするのですか?」と問いかけると、じっくりと考えて、一語一語、丁寧に言葉を紡ぎだした。
「そうねえ……何事も無関心ではいけないと思うんです。好奇心を持って、何かちょっと、一歩まで行かなくても、半歩でも、ということかしら。『ちょっと無理』することは、停滞しているのではなく前進になる気がするんです。体を動かすこと、人に会うこと、特に改めて何かしようということではないけれど、いろいろなことを、そのとき、そのときの時間を大切にしたい。『今』を大切にして生きる、ってことかしら」