これは、誰のためのヌードなのだろう?
9月13日発売の週刊誌「an・an」を見ながら、思わず首を傾げてしまった女性は筆者だけではないはずです。特集名は「美乳強化塾-おいしい胸のつくり方-」。an・anでも人気が高い、年に1回のお胸特集です。
表紙を飾るのは2014年にフリーへと転身し、現在そのキャラクターが“迷走中”などと称されることもあるフリーアナウンサーの田中みな実さん(31)。美しいEカップバストを肘で隠し、ヘルシーなヌード姿を堂々と披露。そんな田中さんのアナウンサーらしからぬ脱ぎっぷりに、多くの男性からの賞賛と女性からの「なぜ脱いだ?」という懐疑的な反応が聞こえてきています。
彼女の初のセミヌードグラビアは、もちろん美しくてセクシー。目にした筆者はもちろん張り合おうという気持ちには1ミリもならず、文句なしの美乳のお姿だったと思います。
とはいえこのグラビアが女性カルチャー誌の表紙であることには、やっぱり多くの女性と同様「うーん」と唸り声を上げてしまいました。それは彼女の歩んできた道と、今のアピールポイントとの間に感じる矛盾だと思うのです。
■女が「ヘルシーな田中みな実」を受け入れられない理由
田中さんのヌードを目にした女性の多くは「きれい!」「羨ましい」と、基本的に美しさを認めています。しかし同時に「アナウンサーなのに脱ぐのはどうなのか?」「元彼の顔がチラつく」というのが、批判的な声の主な理由です。
知性が大切なアナウンサーが脱ぐというのはあまり前例のないことなので、確かに疑問を感じるのは理解できます。それでも多くの女性読者が肯定的に彼女を見られないのには、もっと別の理由があると思います。それは、彼女のインタビューから感じる矛盾でしょう。
■インタビューの中から読み取れる「立ち位置の矛盾」
同誌では、彼女の胸に対する考え方がインタビューとして掲載されています。もともとEカップという胸にコンプレックスを持ち、「ぶりっ子キャラ」の局アナ時代には胸を隠していた過去などが語られています。
でも現在はそんな過去と決別。パーソナルトレーニングやバストケアに目覚め、30代ならではの胸を愛していると語る彼女。どこかで聞いたような美談ですが、問題は語られる過去の“苦労”が多くの女性にとっては苦労に聞こえない点にあります。
「胸が大きくてよかったと思ったことはない」。確かに胸が大きいことで、あらぬイメージや負荷に悩むのはわかります。そこは否定しませんが、彼女が語った「苦労」の時期はアナウンサーとして人気絶頂期です。胸の苦労があったとはいえチヤホヤされていた時期を苦労話として語るには、ややタイミングが早すぎるのです。
しかも今はそこから抜け出し胸を愛していると言っていますが、彼女のキャラクターからは胸に限らず“吹っ切れたヘルシーさ”を感じていない女性が多いようです。その証拠の1つが「元彼の顔がチラつく」という同性からの反応なのではないでしょうか。
奇しくも雑誌の発売である9月は、彼女がTBSを退社してからちょうど3年目の月。競争激しいテレビの世界で高い知名度や人気を保ち続けているのはすごいとは思うものの、あるときはぶりっこして、あるときは自虐キャラになって、今度はヘルシー美乳をアピールと、立ち位置がせわしない。
一般的に「女子」を売りにして20代を過ごした女性は、実力があろうがなかろうが、30代になると一度は立ち位置の変化に悩むものです。田中さんが今何かを吹っ切ろうとしているのは誌面の脱ぎっぷりからも理解できますが、彼女が突き進む道にひと肌脱ぐことは必要なのか?
筆者はその美乳を眺めながら、同世代である彼女のもがきに一抹の不安を感じるのでした。