連続テレビ小説『べっぴんさん』の第4週は、すみれ(芳根京子)が女学校時代の手芸倶楽部仲間の良子(百田夏菜子)と君枝(土村芳)と再会したことから始まる物語。外国式のおしめを作って売ろうと考えたすみれは、育児に詳しい看護婦の明美(谷村美月)に作り方を教えてもらおうとするが、昔の因縁を理由に断られてしまう。貧乏だからバカにされて、泥棒扱いされて、負けたくない一心で必死に勉強し、金を稼げる看護婦になったという明美。ようやく母親に楽をさせてあげられると思った矢先に、マツは亡くなったと明かす。「あんたのせいとは思わへん。けど、あんたたちのせいや思うてしまうんや」と明美。さらにオムツに必要な良質の布も手に入らないと言われ、すみれは考えの甘さを思い知らされる。
それでも諦めないすみれは、義兄の潔(高良健吾)に生地の調達を相談する。おしめを作って売りたいというすみれの思いに賛同した潔は、栄輔(松下優也)とともに生地を探すことに。一方、姉のゆり(蓮佛美沙子)は、前を向いて歩き出そうとしているすみれを見て、応援したい気持ちがありつつも、取り残されたような気分になるのだった。
闇市から神戸の麻田(市村正親)の靴屋に戻ったすみれ。時計屋の時子がつけている腕時計に目を留める。それは、女学校時代の親友・良子が夫から贈られたものと似ていた。時子の父に腕時計を売りに来た人物について訊ねると、良子で間違いないと確信。帳簿の住所を頼りに良子の家をたずねる。そうして、バラック街の一画にその家を見つけ、戸を叩くと、良子が出てきた。互いの無事を知り、抱き合って喜ぶすみれと良子。
すみれは、良子もまた、自分と同じように幼い赤ん坊を抱え、夫が戦地から帰るのを待っていると知る。生活が行き詰まり、腕時計を売って現金に換えるしかなかったと語る良子だが、厳しい暮らしの中でも、工夫を凝らした手製の服を息子に着せていた。「さすが良子ちゃんやね」と感心するすみれ。
そのころ大阪では、潔が昔の得意先を回るため、闇市を後にする。自分が置いていかれることに我慢のならないゆりは、潔の後を追い、こう言い放つのだった。「私たちは同志じゃないの? 2人で一緒にお父さまたちの作った会社を建て直すんじゃなかったの? いちばん苦しいときに一緒にやらないなんて意味がないわ」と。しかし、危険が伴う旅に連れていけない潔は、ひとり旅立つのだった。
すみれは良子と一緒に君枝(土村芳)の家を訪ねる。君枝は家が戦災を免れていたものの、元々病弱だったこともあり、床に伏せっていた。君枝の家に残っていたミシンを見つけたすみれは、思い切って二人を商売に誘う。しかし、自分が商売をすることなど考えられないと良子と君枝。
すみれは、栄輔の協力で外国式のおしめ用の生地を手に入れる。すみれは再び看護婦の明美の元を訪れ、明美にも使ってほしいと生地を手渡す。昔、無知だった自分が明美を傷つけてしまったことを詫び、しかし、「今の私はあのころとは違うんです。私は、娘と生き抜くために何でもしないと」と覚悟を語るすみれ。明美から外国式のおしめの作り方を教えてもらったすみれは、妊娠中の友人・エイミー(シャーロット・ケイト・フォックス)におしめを売ることに成功する。その後、無事娘を出産したエイミーは、「代々大切に着続けられる特別な服」を子どものために作ってほしいとすみれに頼む。
すみれは、女学校時代の手芸倶楽部仲間の良子と君枝に集まってもらい、ドレスの相談をする。生地に困ったすみれは、母・はな(菅野美穂)の形見で、戦災で焼け焦げてしまったウエディングドレスを生地として使うことに。「エイミーさんが娘に残したい思いは、このドレスを残してくれたお母様と同じ思いだと思う。この焼け残ったドレスであの赤ちゃんの宝物を作れると思うたら……」とすみれ。2人に今回だけ協力して欲しいと頼む。
すみれの覚悟に打たれた良子と君枝は快諾。君枝の考えたドレスのデザインを見て、すみれと良子は目を輝かせる。「期間限定、今だけの手芸クラブ、再結成ね」と君枝。そのデザインをもとに良子が型紙を作る。母の肩身のウエディングドレスにハサミを入れるすみれ。ベビードレスを縫いながら、自然と笑顔がこぼれる。「その笑顔よ、それが良子ちゃんよ」と声をかけるすみれ。もしも戦争がなかったらどんな人生を送っただろうと語り合う。「こないなこと、ずっとやりたかったのかもしれへんな」とすみれ。そうして、赤ちゃんのためのドレスを完成させる。
ドレスの出来栄えに感激するエイミーを見て、改めて特別な品「べっぴん」を作る喜びをかみしめたすみれ。その思いは、良子や君枝も同じだった。「本当に楽しかったな」とすみれ。再び、明美が働く病院に向かったすみれは、大切なことを思い出させてくれたお礼として、手作りの写真入れを明美に渡す。「使う人のことを考えて作ることがどれだけ素敵なことか、使う人が笑顔になってくれることがどれだけ嬉しいことか」と。
手芸倶楽部の再結成は一回限りと気持ちを切り替え、ひとりで再び前を向こうとしたすみれの元に、良子と君枝が訪ねてくる。「私、一緒にやりたい」と君枝。戦後どん底の気分だったが、すみれに会って自分を変えるいい機会だと思った。そして、息子のためにも頑張ってみたいと決意を語る。すると、そこへ明美が現れる。「お嬢さん3人でドレスでも作って売るつもり? 思いだけでうまくいく世の中やないよ」と言い、しかし、思いがなくてはうまくいかない、と。「手伝うわ」と明美。
さっそく開店準備に取り掛かるすみれたち。潔と栄輔が調達してきた大量の生地のなかから、メリヤス生地を使って前開きの赤ちゃん用の肌着を作ることに。生地の伸び縮みや縫い方などの改良を重ねながら、お店の象徴となるマークを決める4人。四つ葉のクローバーはどうかと提案するすみれは、クローバーの4つの葉は、勇気、愛情、信頼、希望。みんな揃うと幸せなれる。「4人でずっと、忘れないでやっていけたらと思うんやけど」と。賛同した君枝たちは、四葉のクローバーのイラストが描かれたポスターを完成させる。すると今度は、店の看板代わりに、ショー・ウインドーにディスプレイする子供服を作ろうと提案するすみれ。良子と君枝とアイデアを出し合い、おしゃれな子供用のワンピースを作り上げる。
そうして4人は、靴屋の麻田のお店の一角を借りて「ベビーショップあさや」の開店にこぎつけた。開店後、最初に訪れたのは、すみれの父・五十八(生瀬勝久)。そんな折、大阪の闇市では、潔と栄輔が闇市の元締めが率いる男たちとのあいだで騒動を起こして……。
第5週の『べっぴんさん』は、すみれは、仲間の明美、良子、君枝とともにオープンした協力して、子供服の店「ベビーショップあさや」をオープンする。テーブルクロスを作るという新しい仕事も舞い込むが、良子の接客の態度を明美が注意したことをきっかけに、4人の関係がぎくしゃくし始める。そんな中、良子の夫・勝二(田中要次)が戦地から帰還。良子は「夫を支えたい」と言って店を辞めてしまう。さらに君枝の夫・昭一(平岡祐太)も帰還し、君枝までもが店を離れることに……。